本人以外は利用不可?法人カードの名義人に関する決まりごとと対策を徹底解説

ビジネスをおこなう中で必須アイテムの法人カードは、名義人が法人代表者や個人事業主の方本人になるのが一般的です。
しかし、さまざまなシーンで法人カードを名義人以外の従業員にも利用させたい、活用させたいと思うこともあるのではないでしょうか。
そこで疑問となるのが「1枚の法人カードを名義人以外の方が使っても問題ないのか」という点です。
結論から言うと、法人カードを名義人の方以外が使用することは出来ません。 ただし、名義人以外の方が法人カードを使用する方法がないわけでは無いのです。
当記事では、名義人以外の方の法人カードの利用について解説します。
実際に名義人以外の方がカードを利用して良いのかをはじめ、
- 名義人以外の利用として追加カードの発行
- 追加カード発行のメリット・デメリット
- 追加カード発行におすすめの法人カード
などをご紹介します。
最後までチェックすることで、法人カードの名義人についての知識が高まり、ご自身がどのように対応すれば良いのかがわかるようになるでしょう。
この記事の目次
- 法人カードの名義人以外の利用は原則禁止
- 法人カードは法人そのものでなく代表者の名義
- 利用規約違反でカード利用の停止の可能性もある
- 法人カードを利用時は名義人の名前にて署名
- 従業員に利用させたい場合は追加カードの発行が一般的
- 追加カードは基本的に審査なしで発行可能
- 追加カードの申し込み条件
- 大企業向けのコーポレートカードは従業員も審査対象となる場合がある
- 従業員が追加カードを使うことの3つのメリット
- 経理処理が楽になる
- 追加カード利用のポイントを獲得できる
- 従業員がカードの付帯サービスや特典を利用できる
- 社員が追加カードを使うことの2つのデメリット
- 追加カードにも年会費が発生
- 従業員の不正利用が起こる可能性が
- 追加カードの発行におすすめな法人カード4選
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
- オリコ EX Gold for Biz
- JCB法人カード
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレスカード
- まとめ
法人カードの名義人以外の利用は原則禁止
結論から言ってしまえば、法人カードは名義人以外の方がカード決済してはいけないことになっています。これは相手が役員であっても従業員であっても、役職関係なく禁止されている行為なのです。
こちらでは、法人カードの名義人以外の利用について詳しく解説していきます。
法人カードは法人そのものでなく代表者の名義
法人カードの名義人は法人ではなく、多くのケースで法人代表者や個人事業主本人のものになります。
- 契約者が法人代表者の場合の名義人:法人代表者の名前
- 契約者が法人の場合の名義人:法人名ではなく法人代表者の名前
- 追加カードの名義人:カードを与えられた従業員の名前
上記のように、法人代表者や個人事業主が法人カードを契約する場合、名義人は契約者となる代表者の名前となるのです。
そのほかにも法人が法人カードを契約する場合、会社名ではなく法人代表者個人が名義人となり、追加カードも同様に、カードを与えられた従業員自身の名前が名義人となります。
ただし、引き落とし口座の名義に関しては例外で、法人名義となるのでご注意ください。
利用規約違反でカード利用の停止の可能性もある
法人カードは名義人本人以外の利用を禁止していて、その事実がカード会社に伝わってしまえば利用規約違反となってしまいます。
そうなると最悪の場合、法人カードが利用停止となって使えなくなる可能性があるので注意してください。
法人カードを利用時は名義人の名前にて署名
法人カードを店舗などで使う際には署名を求められますが、そのときは契約者が誰であっても法人カードの名義人となる個人名で署名をします。
法人名で署名をすると思う方も多いかもしれませんが、名義人本人の名前で署名をしなければならない、ということを覚えておいてください。
それでは、従業員などの名義人以外の方に法人カードを利用させたい場合はどんな対応をすればいいのでしょうか。
従業員に利用させたい場合は追加カードの発行が一般的
名義人以外が使うことで利用規約違反となってしまう法人カード。従業員に利用させるためには、追加カードを必要枚数発行するのが一般的な対応です。
追加カードは新規入会時でも、契約者名義の基本カード発行後でも作成できます。最初は追加カードが必要ないと思っていたけれど、後で従業員が増えて発行したくなるといったこともあるでしょう。
その場合、追加カード発行の申し込みをすれば、後日カードが送られてきて使えるようになります。
しかし、追加カードは審査なしで発行できるのが一般的ですが、法人カードの種類によっては審査が必要なケースもあります。
次の項で、追加カードを発行するための審査について解説するのでチェックしておいてください。
追加カードは基本的に審査なしで発行可能
法人カードを発行するときの審査対象は法人代表者あるいは個人事業主となりますが、これは追加カードの新規発行でも基本的に変わりません。
それぞれの追加カードで利用した金額は、契約者名義の基本カードの利用金額と一括して支払日に法人口座から引き落としとなります。
そのため、支払い能力を問われるのは従業員ではなく、契約者となる法人代表者もしくは個人事業主です。
基本的にはカード会員の審査に通過していれば、追加カードを後から申し込むことに難しさはないですし、従業員のクレヒス(信用情報)も気にする必要がありません。極論を言えばブラックの方であっても追加カードの発行が可能となります。
追加カードの申し込み条件
追加カードは誰でも持てるわけでなく、法人カード契約者の会社・事業の従業員でないと申し込み条件をクリアできません。
たとえば、アメックスの発行する「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード」の場合、以下のような申し込み条件があります。
- 法人の場合:法人の役員または従業員
- 個人事業の場合:役員または従業員、基本カード会員様の2親等以内の親族
そのほかにも基本カードと追加カードでは年齢による申し込み条件が異なるケースもあります。
たとえば、ダイナースビジネスカードでは基本カード会員が27歳以上、追加カード会員が18歳以上からです。
大企業向けのコーポレートカードは従業員も審査対象となる場合がある
大企業を対象とするコーポレートカードの支払い方法に個人払い(個別決済方式)を選んでいる場合、従業員個人の支払い能力に問題がないかを審査されます。
詳細な審査基準は公開されていませんが、これまでのクレジットカード利用履歴に勤務年数、年収などが審査時にチェックされる一般的な傾向です。
従業員のクレヒスに傷が付いている状態では発行できない
審査対象となる従業員のクレヒスに傷がある状態では、審査通過は難しいでしょう。
長期延滞に滞納、債務整理などの金融事故を過去に起こしている方は、信用情報機関が情報を残している期間を過ぎないことには発行はほぼ不可能です。
なお、情報登録期間が過ぎたとしても、過去に金融事故を起こしたカード会社の追加カードは「社内ブラック扱い」になっているので半永久的に発行できないと思ってください。
次に従業員が追加カードを使うことのメリットを3つ解説します。
従業員が追加カードを使うことの3つのメリット
従業員が追加カードを使うことのメリットは以下の3つです。
詳しく解説していきましょう。
経理処理が楽になる
追加カードを発行することで、カードを使う従業員すべての経費の一本化が可能となり、処理や管理の面で楽になります。
たとえば従業員が経費を立て替えた場合、精算処理を都度おこなうのは経理担当者にとって負担は大きいでしょう。
そこで追加カードを持っていれば、経費の支払いの集約が可能となりますし、利用明細書もまとめることができます。
誰が、いつどこで経費を使ったのかも一目でわかりますし、経費処理がスムーズになることから、本来ビジネスに費やすべきだった時間の確保にもつながるはずです。
追加カード利用のポイントを獲得できる
発行する追加カードのすべてで、利用金額に対するポイントを獲得できます。
法人カードは個人向けカード以上に毎月の利用金額が大きいので、獲得できるポイント数も多くなるでしょう。しかし、これがカード決済ではなく現金で経費を立て替えていたらポイントの獲得はできません。
なお、獲得したポイントは商品と交換したりマイルに移行したりすることができるので、本来支出するはずだった経費の削減にもつながります。
従業員がカードの付帯サービスや特典を利用できる
追加カードを発行することで、従業員がカードに付帯する保険やサービスなどを利用できるようになります。
実際に発行する法人カードにもよりますが、空港ラウンジの利用をはじめ、ショッピング保険に航空機遅延保険など、ビジネスシーンで活用できるものが豊富です。
旅行保険は旅費をどのように支払ったかで補償対象になるかどうかが変わりますが、付帯サービスなどは年会費を支払ってさえいれば、追加で発生する費用などは特にありません。
このように追加カードを使うことで魅力あるメリットがあることはわかりましたが、それに対するデメリットもあります。
次で従業員が追加カードを使うことのデメリットを2つ解説します。
社員が追加カードを使うことの2つのデメリット
メリットだけでなく、従業員が追加カードを使うことにはデメリットもあります。
前もってデメリットをチェックしておけば、後から困ることはありません。あらかじめ対策を考えるなどして、上手に対応してください。
追加カードにも年会費が発生
法人カードの基本カードには年会費が発生するのがほとんどですが、それは追加カードについても同様です。
年会費がどのくらいになるのかは発行するカードによって異なりますが、傾向として基本カードの年会費が高額であれば、追加カードも年会費が高くなるでしょう。
「あると便利」「もしものときに備えて多めに用意しよう」などの考えで追加カードを必要以上に発行したくなることもあるかもしれません。しかし、そうすることで不必要な年会費がかさんでしまうことになります。
追加カードの作成は、支払いが負担にならない程度の枚数を申し込んでください。
従業員の不正利用が起こる可能性が
従業員個人に渡される追加カードは自由に決済ができることから、不正利用が起きる可能性も発生します。
従業員が私的な買い物を追加カードで支払うなど、経費以外の支払いに追加カードを使ってしまうケースは十分考えられるでしょう。
発行される利用明細をしっかりと確認するのはもちろん、追加カードの利用についての規約を作るなどして管理することが求められます。
最後に追加カードの発行におすすめな法人カードをご紹介します。追加カードを発行する法人カードは多数ありますが、その中でも特に使い勝手の良い4枚をまとめてみました。
追加カードの発行におすすめな法人カード4選
追加カードの発行におすすめな法人カードは以下の4種類です。
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
- オリコ EX Gold for Biz
- 三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック)
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレスカード
それぞれのカードの特徴を以下で詳しくチェックしていきましょう。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード」は基本カードの年会費は31,000円(税別)、追加カードは12,000円(税別)発生しますが、支払った分だけの利用価値を得られる法人カードです。
他の法人カードとは異なり、追加カードは1枚から年会費が発生しますが、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードでは、ビジネスに役立つサービスがどのカードよりも多く付帯します。
たとえば、旅行傷害保険は公共交通機関や宿泊代金をカード決済することで、追加カード会員でも国内・海外ともに最高5,000万円が補償。
海外での24時間日本語サポートを受けられるオーバーシーズ・アシストに、カードと搭乗券を提示することで、国内・海外にある29箇所の空港ラウンジを利用できます。
また、手荷物無料宅配サービスに手荷物ホテル当日宅配サービス、キャンセル・プロテクションにオンライン・プロテクション、リターン・プロテクションなどのアメックス独自のサービスも付帯します。
オリコ EX Gold for Biz
オリコの発行する「EX Gold for Biz」は年会費2,000円(税別)という格安価格でゴールドカードを持てることが特徴です。
発行可能な追加カードは3枚までですが、年会費無料なので維持費をかけずに済みます。
ただし、EX Gold for Biz Mは、付帯サービスの充実度が高いうえにポイントも貯めやすいカードですが、個人事業主向けのEX Gold for Biz Sは追加カード発行に対応していないので注意してください。
JCB法人カード
多くの法人カードが追加カードは3枚までなどの上限がありますが、「JCB法人カード」では必要枚数を発行可能なので、各従業員に追加カードを持たせたいときに役立ちます。
また、JCB法人カードの一般カードは基本カードの年会費が1,250円(税別)と格安で、追加カードも同額の年会費です。
発行枚数分の支払いが必要なのはデメリットですが、「とにかく追加カードを多く作成したい」という方のニーズにこたえられるのは魅力と言えるでしょう。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレスカード
セゾンカードの発行する「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレスカード」は、スペックを重視したい方におすすめの法人カードです。
基本カードの年会費は20,000円(税別)、追加カードの年会費は3,000円(税別)で最大4枚まで発行できます。また、プラチナカードでは一般的なインビテーションも必要ないので、都合の良いタイミングで直接申し込みが可能です。
プラチナカードならではの付帯サービスが魅力で、プライオリティパスの付帯に24時間365日体制で専任のスタッフが対応するカードデスクなど、スペックの高さを追加カードでも満喫できるでしょう。
まとめ
当記事では、法人カードの名義人以外の利用をはじめ、追加カードの発行の際のメリット・デメリット、追加カード発行におすすめの法人カードをご紹介しました。
最後に記事の要点をチェックしていきましょう。
- 法人カードは名義人以外の利用は禁止
- 名義人以外の方が法人カードを利用した場合は規約違反となる
- 従業員に法人カードを使わせたい場合は追加カードの発行一択
- 経費処理が楽になるメリットがある反面、不正利用リスクのデメリットもある
追加カードの年会費が発生するかどうかは各法人カードによって異なります。必要な年会費の金額と付帯サービスのバランスを考慮しながら、最適な1枚を選んでください。
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