急な資金調達でもOK! キャッシングにおすすめの法人カード5選
監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美
経営者であれば、急な資金調達が必要な時もあるでしょう。しかし、1週間程度の短期間での資金調達が必要になった場合、銀行のローンでは審査に時間がかかりすぎて間に合いません。
経営者なら、急に資金調達が必要になった時の資金繰りや、出張時資金が必要になった時のために、法人カードにキャッシング機能を付けておきたいとお考えではありませんか。
今回の記事では、法人カードのキャッシング機能の概要やキャッシングに対応していない法人カードが多い理由などを解説し、資金調達が必要な経営者におすすめの法人カードを紹介します。
記事を読むことで、キャッシングできる法人カードが少ない理由を理解し、適切な法人カードを申し込めるようになります。
この記事の目次
- 法人カードのキャッシング機能の概要
- キャッシングとは
- 個人カードの場合は国内外でのキャッシングに対応
- キャッシング枠がある法人カードが少ない
- 対象が個人事業主に限られている場合が多い
- キャッシング限度額
- 法人カードでキャッシングするメリット
- すぐに資金調達できる
- ポイントが優遇されるカードもある
- 法人カードでキャッシングするデメリット
- 銀行ローンより利息が高い
- キャッシング枠を付けると審査が厳しくなる
- 支払い方法の融通がきかない
- 法人カードでキャッシングするよりメリットが大きい方法
- 銀行のローンを利用するのがおすすめ
- 急な資金調達の場合はキャッシングを利用
- 資金調達が必要な経営者におすすめの法人カード5選
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
- 三井住友ビジネスカードfor Owners
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
- P-one Business Mastercard
- ダイナースクラブビジネスカード
- まとめ
法人カードのキャッシング機能の概要
法人カードの一部には、個人カードと同じようなキャッシング機能が付いています。この章では、法人カードのキャッシング機能の概要を解説していきます。
キャッシングとは
キャッシングとは、クレジットカードのキャッシング機能を使って、お金を借り入れすることです。法人カード付帯のキャッシングは基本的に小口融資で、借入限度額は数十万円までになっていることが多いです。
例えば三井住友ビジネスカード for Ownersクラシックカードの場合、キャッシング利用枠は0~50万円に設定されています。
つまりキャッシングとは、事業ローンと比べて少額の借り入れが可能な、一時的な資金調達に適しているお金の借り方です。
個人カードの場合は国内外でのキャッシングに対応
キャッシング機能はほとんどの個人カードに付帯しています。キャッシング機能が付いている場合、国内・海外を問わずキャッシング可能です。 例えば、楽天カードの個人カードは、国内・海外のキャッシングに対応しています。 同じように、多くの個人カードで国内・海外でのキャッシングが可能です。
キャッシング枠がある法人カードが少ない
法人カードの場合、キャッシング枠を設けていないカードも多いです。キャッシングで資金調達をする場合、経営が上手くいっていないことが多く、キャッシング機能を付けると貸し倒れのリスクが高くなってしまいます。
一例として、楽天ビジネスカードにはキャッシング枠は付いていません。
このように、個人カードにキャッシング機能があるカードでも、法人カードではキャッシングできないカードが少なからずあります。
対象が個人事業主に限られている場合が多い
一部の法人カードには、個人カードと同じようにキャッシング機能が付いています。しかし、対象が個人事業主に限られていて、法人用カードではキャッシングできないカードがほとんどです。
例えば、個人事業主対象のオリコEX Gold for Biz Sはキャッシング可能ですが、法人代表者対象のオリコEX Gold for Biz Mではキャッシングできません。
このように、基本的に法人はキャッシング機能を使えない点をおさえておきましょう。
キャッシング限度額
カード利用枠と同じように、キャッシングの利用枠も名義人ごとに定められています。事業支出の目的に限り利用でき、個人的な支出には使用できません。
また、三井住友ビジネスカード for Ownersクラシックカードのように、キャッシング利用枠が個人の利用枠と合算される場合もありますので、あまり高額のキャッシングはできません。
カード利用可能枠より少ない
キャッシング利用枠は、カード利用枠の範囲内で設定されています。そのため、カード利用枠より少額で設定されていることがほとんどです。
例えば三井住友ビジネスカード for Ownersクラシックカードの利用枠は下記の通りです。
カード利用枠 | 10~150万円 |
---|---|
キャッシング利用枠 | 0~50万円 |
貸し倒れを避けるなどリスク回避のためにも、キャッシング枠はそう高額には設定されていません。
借入額が少ないと利息が高くなる場合もある
法人カードの種類によっては、借入額によって利率が異なるカードもあります。借入額によって利率が異なる場合は、少額の借り入れの利率が高くなっていることが一般的です。
例えばオリコEX Gold for Biz Sのキャッシング利用時の利率は下記の通りです。
借入額 | 実質年率 |
---|---|
100万円 | 15.0% |
90万円まで | 18.0% |
このように、借入額によって利率が異なる法人カードもあるため、キャッシングを検討している場合はよく確認しておきましょう。
この章では、法人カードのキャッシング機能の概要を紹介してきました。次の章では、法人カードでキャッシングするメリットを解説していきます。
法人カードでキャッシングするメリット
法人カードのキャッシング機能には、いくつかのメリットがあります。
- 資金調達の速さ
- ポイント優遇
詳しく見ていきましょう。
すぐに資金調達できる
法人カードにキャッシング機能が付いていると、急遽現金が必要になった時も問題ありません。キャッシング利用可能枠の範囲内で、ATMやキャッシュディスペンサーなどを使ってすぐに調達できます。
例えば海外出張の際、現地で業務用の資金が必要となった時でも、現地のATMでキャッシングを利用すると便利です。繰り上げ返済を利用することで、現地での両替手数料よりも利息の方が安くなる場合もあります。
キャッシング機能が付いていることで、国内・海外に関わらずすぐに現金を調達できる点は大きなメリットです。
ポイントが優遇されるカードもある
法人カードの中には、キャッシング利用されることを前提に作っているカードもあります。利息がかかりますが、その分ポイントで優遇される場合も多いです。
例えば、P-one Business Mastercardは、キャッシング利用可能枠最高300万円と高額なうえにポイントも通常の2倍と優遇されています。
このように、キャッシング利用しやすい法人カードもあるので、キャッシング利用することがあらかじめわかっているのであれば、キャッシング枠が大きめのカードを選ぶといいでしょう。
この章では、法人カードでキャッシングするメリットを解説してきました。次の章では、法人カードでキャッシングするデメリットを解説していきます。
法人カードでキャッシングするデメリット
法人カードには、キャッシングできないカードも多いです。たとえキャッシングできたとしても、下記のようなデメリットがあります。
- 高い利息
- 審査が厳しい
- 支払い方法
詳しく見ていきましょう。
銀行ローンより利息が高い
法人カードのキャッシングは、一時しのぎの資金調達のための機能です。すぐに返済されることを想定していて、長期借り入れることを想定した銀行ローンに比べると、金利は高めの設定になっています。
例えば、三井住友銀行系列で比較すると下記のようになります。
利率 | 利用枠 | その他 | |
---|---|---|---|
三井住友ビジネスカード for Ownersクラシックカード | 15.0% | 0~50万円 | 事務手数料32,400円~ |
三井住友銀行 | 1.875%~ | 1億円以下 |
法人カードのキャッシングには、リボでしか返済できないカードもあり、返済が長期間になればなるほど利息がかさんでしまいます。
貸し倒れを防ぐためにキャッシング枠がないカードも多い
キャッシングできない法人カードも少なくありません。法人が事業資金を借り入れする場合、事業ローンを使うのが一般的で、事業資金にキャッシングを利用するのは経営が不安定な法人である場合が多いです。
経営が安定していない法人が毎月キャッシングすることで利息がかさみ返しきれなくなってくると、倒産の危険性もあります。
このような悪循環による貸し倒れを防ぐために、キャッシング機能が付いていない法人カードが多いです。
キャッシング枠を付けると審査が厳しくなる
法人カードにキャッシング枠を付ける場合、ショッピング枠のみの場合より、さらに厳格に審査されます。キャッシング枠を付けるなら収入証明が必要なカードもあるなど、必要書類が増えることも。
例えば、オリコEX Gold for Biz Sはキャッシング希望の場合、確定申告書などの所得証明書の提出が必要になる場合があると公式サイトに明記しています。
カード会社として貸し倒れのリスクを避けたいがために、キャッシング枠の審査を厳格化しています。
支払い方法の融通がきかない
法人カードのキャッシングは、返済方法があらかじめ設定されていることが多いです。基本となる返済方法が定められているので、銀行ローンのようにこちらの都合で計画的に返済、という訳にはいきません。
例えば三井住友ビジネスカード for Ownersクラシックカードのキャッシング機能は基本的にリボ払いです。一括繰り上げ返済には対応していますが、買物の支払い時のように分割払いはできません。
少額を一時的にしのぐための機能なので支払い方法の融通はきかず、資金調達には不向きです。
この章では、法人カードでキャッシングするデメリットを紹介してきました。次の章では、法人カードでキャッシングするよりメリットが大きい方法を解説していきます。
法人カードでキャッシングするよりメリットが大きい方法
法人カードのキャッシング機能は、まとまった額や長期の借り入れには不向きです。そこで事業性の借り入れにおいて、法人カードでキャッシングするよりメリットが大きい方法を紹介します。
銀行のローンを利用するのがおすすめ
事業資金を調達するのであれば、利息が少なく計画的に返済できる銀行ローンがおすすめです。利率が10%を超えることも多いキャッシングに比べて、銀行ローンは利率が1~2%程度がほとんどです。
例えば300万円の事業資金を借り入れた場合、1年間の利息は銀行ローンは3~6万円程度ですが、キャッシングの場合は利率10%で計算しても30万円を超えます。
金額が増え、期間が長くなるにつれて、利息は無視できない金額になるので、事業資金の調達には銀行のローンを利用するのがいいでしょう。
急な資金調達の場合はキャッシングを利用
急に資金調達が必要になった場合には、キャッシングを利用するといいでしょう。入金があるまでの一時しのぎの資金調達など、すぐに返済する目途が立っているなら、利息の負担もそう大きくはありません。
例えば年利15%のキャッシングで50万円を7日で返済する場合、利息は約1,438円とわずかです。(500,000×0.15×7/365=1,438円)
このように、急しのぎが必要な場合には、キャッシングを利用するのも資金繰りの手段のひとつです。
繰り上げ返済すると利息を抑えられる
急な資金調達でキャッシングした場合、繰り上げ返済をすることで支払う利息を抑えられます。キャッシングした場合、通常は支払日までの利息が日割り計算でかかりますが、繰り上げ返済することで支払日までの利息で済みます。
例えば、支払日までを約40日とすると、50万円借りた場合の利息は8,219円ですが、7日で返済すると1,438円で済みます。
金額が増えれば増えるほど利息は大きくなるので、繰り上げ返済をして費用を抑えるといいでしょう。
この章では、法人カードでキャッシングするよりメリットが大きい方法を紹介してきました。次の章では、資金調達が必要な経営者におすすめの法人カードを紹介していきます。
資金調達が必要な経営者におすすめの法人カード5選
事業規模が大きくなればなるほど、資金調達が必要になることはあります。そこで、資金調達が必要な経営者におすすめの法人カードを紹介していきます。
詳しく見ていきましょう。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードは、高額決済にも対応できる高ステータスな法人カードです。
キャッシング機能はありませんが一律の限度額がなく、信用状況がいい経営者であれば、高額決済も可能です。
年会費 | 31,000円(税別) |
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追加カード | 12,000円(税別) |
- 高額決済の事前承認制度
- 一律の限度額なし
- ペイフレックス あとリボ for Business
ほかにも、出張やビジネスなどに役立つ付帯サービスが充実しています。また、月末の請求100円ごとにポイントが付与される、ポイントが付きやすいカードです。
現金での資金調達はできませんが、事前承認での高額決済ができることで、オフィスの引っ越しなどでの備品のまとめ買いや車の購入など、高額な支払いにも使用できます。加盟店も多く幅広い経費の支払いが可能なうえに、幅広い付帯サービスを利用できる、おすすめの法人カードです。
三井住友ビジネスカードfor Owners
三井住友ビジネスカード for Ownersは、個人事業主や法人代表者専用のカードです。キャッシングリボ機能は年利固定で利用可能です。
年会費 | 1,250円(税別) |
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パートナーカード会員1名 | 400円(税別) |
- キャッシングリボ(0~50万円、実質年率15.0%)
- 個人事業主は年収の1/3を超えての借り入れも可能
- プライベートでの利用も可能
利率固定で他社より低めに設定されているため、利息の負担を抑えられます。海外出張が多い人など、頻繁にキャッシングを利用する人におすすめです。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは、永久不滅ポイントで人気のある法人カードです。
年会費 | 20,000円(税別) ※年間200万円以上のご利用で10,000円(税別) |
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追加会員 | 3,000円(税別) |
- 最高50万円の利用可能枠
- キャッシング(実質年率 : 12.00%~18.00%)
- 返済期間は最高110回まで分割可能
プラチナランクの法人カードにも関わらずキャッシング機能が付帯し、さらに年会費がリーズナブルにも関わらず、充実したサービスも魅力的です。
また、審査も比較的通りやすく、審査期間は最短3日とも言われているため、すぐにキャッシングを利用したい人におすすめです。
この章では、資金調達が必要な経営者におすすめの法人カードを紹介してきました。資金繰りのうえで重要な、法人カード選びのヒントにしてください。
P-one Business Mastercard
P-one Business Mastercardは、事業用のキャッシングを考えている人におすすめの法人カードです。
利用可能枠が最高300万円と高額なので、いざという時の資金繰りに役立ちます。
年会費 | 初年度無料 2年目以降2,000円(税別)・前年度に利用があれば無料 |
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追加カード | 無料(5枚まで、キャッシング機能なし) |
- ポケット・サポート
- サービス ・カーライフホッとライン
キャッシングの利率は12.00~17.95%とやや高額なものの、繰り上げ返済を利用すれば金利を抑えられます。高額なキャッシング利用可能枠を求める経営者におすすめです。
ダイナースクラブビジネスカード
ダイナースクラブビジネスカードは、アメリカン・エキスプレスと同様高ステータスな法人カードです。ビジネスに役立つ独自のサービスが充実しています。
年会費 | 27,000円(税別) |
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追加会員 | 無料 |
- 利用可能枠一律の制限なし
- キャッシング(実質年率 : 15.00%~20.00%、一括払いのみ、300万円まで)
- カードローン(実質年率13.8%、300万円まで)
キャッシングのほかにカードローンも利用できるので、計画的な資金繰りがしやすいメリットがあります。充実のサービスとキャッシングのしやすさを求める経営者におすすめです。
まとめ
今回の記事では、法人カードのキャッシング機能の概要やキャッシングに対応していない法人カードが多い理由やメリット・デメリットを解説したうえで、資金調達が必要な経営者におすすめの法人カードを紹介してきました。
経営者であれば資金繰りに頭を悩ませる機会は多く、法人カード選びも重要なポイントです。
資金繰りに悩んでいるなら、利息の負担を少なくすることは重要なポイントです。アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードであれば、事前承認制度を利用して高額な支払いもできるので、利息の負担なく支払いまでの期日を遅らせることが可能。さらにはポイントまで付くので、年会費はかかっても持つ価値はあるでしょう。
資金繰りに悩んでいる経営者の方は、今回の記事を参考にしながら、自分にぴったりの法人カードを選んでくださいね。
- 監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美
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年間、100本以上の記事執筆や監修を行っていますが、同じタイトルの記事でも、その時の経済情勢や法改正などで、内容は日々変わっていきます。 『かかりつけのお金と人生の相談者』いうスタンスを大切に、最新かつ正確な情報をお届けすると共に、読者にとって「わかりやすい」記事を提供することを心がけています。