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【知らないと損?】法人カードは退職時の扱いを誤ると思わぬ責任を負うことがある

監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美
カードを手にもちスマホを見る男性

法人カードは経費の一元管理やキャッシュフローの改善などの役に立つ便利で頼もしい存在です。その反面、自分が使ったわけでもない利用代金の支払を迫られるリスクがあります。とくに、退職に絡む手続や責任については知らなかったではすまされない点が多いです。

法人カードに関する責任は、多くの場合、カードを導入している法人などの団体とその代表者、個人事業主にあるということを忘れてはいけません。末端のカード使用者である社員にだけ責任があるケースは稀と考えた方がよいです。

この記事では、退職した社員が使っていた追加カードの扱いや、自分が辞めた後の支払責任など、知っておかないと損をする事柄について実際のカード規約の概要も確認しながら解説します。

この記事の目次

法人カードを退職後に使うことも理論上は可能

カードを持ちながらパソコンを見る外国人のおじいさん

法人カードは当該事業者の代表者または従業員の身分を持つ個人に対して発行されるクレジットカードです。しかし、その身分を失った退職後に使用することも理論上は可能です。

退職時には退会するのが理屈としては自然な流れ

退職して身分が変わってしまったら、原則として持っている法人カードは使えません。とはいえ、カード会社が退職の事実を把握していなければ、引き続き使用できてしまいます。理屈の上からは、退職したらカード会員から退会すべきです。

退職の事実を申告しなくても通用してしまう実態がある

カード会社が退職の事実を知るためには、退職した本人か法人カードを導入している事業者からの申告が必要となります。それ以外に何らかの事情でカード会社が退職の事実を把握する可能性がないとはいえませんが、申告待ちになるのが一般的です。

そして、申告をしなかったとしても使用分の代金が支払われていれば、退職していないのと同じ状況となるため、そのまま通用してしまうことがあります。

カード会社が退職を理由に契約を解除するとは限らない

そこで、カード会社が退職の事実を確認した場合は当該カードの契約が解除になるのかが気になります。実際には、退職を理由としてカード会社が契約解除をするとは限りません。一般的なカード規約では、届出を怠るなどの事情があれば契約解除も可能といえます。ポイントは、あくまでも可能であって絶対的に解除することとなっているわけではない点です。

次の章では、法人カードの契約形態について解説します。

法人カードの契約には主に4つのタイプがある

パソコンのキーボードをたたきながらカードを持つ男性

法人カードには、契約主体が誰かによってさまざまなタイプがあり、分類するとおもに4つのタイプに分けることができます。

  • 法人の代表者としての契約
  • 個人事業主としての契約
  • 法人の社員が代理人としてカードを使用する契約
  • 法人の社員が個人として法人経由でする契約

それぞれどういうものか、見ていきましょう。

法人の代表者としての契約

まず、法人の代表者としての契約です。この場合は、法人と代表者がそれぞれの立場で会員となります。

一般的に法人の代表者といえば代表取締役を指します。代表取締役で最も多いのが社長です。法人の代表者が退任した場合、従業員が退職するのとは異なり、法人カード全体に影響が及びます。カード契約の根本が覆ることになるため、新たな法人カードに切り替える必要が生じます。

個人事業主としての契約

法人格を持たない事業者である個人事業主として法人カードを契約する場合、事業者とカード使用者は同一人物です。法人代表者は交代のケースがあるのに対し、個人事業主の退職とは事業主体がなくなることを意味します。そのため、追加カードを発行できる点は同じでも、法人代表者としての契約に比べて個人カードの契約に近い契約です。

法人の社員が代理人としてカードを使用する契約

法人の社員が法人の代理人として法人カードを使用する契約があります。実際には、前記2つの契約それぞれに内包される契約です。ここで使用するのは、法人代表者が使用するカードとは別に発行される追加カードです。追加カードの名義は使用する社員本人の個人名義になっています。

この契約では、社員は自分のためではなく代理人としてカードを使用しているため、カードの名義に関係なく、カード会社に対して利用代金などの責任を負うことはありません。中小企業で経費管理を効率化するために導入する法人カードに多い契約形態だといえます。

法人の社員が個人として法人経由でする契約

代理人として使用する場合以外にも、個人名義で追加カードが発行されるケースがあります。法人の社員が個人として法人を経由して契約する場合です。この契約では、カードの名義人である社員は利用代金の支払い義務を負います。大企業のコーポレートカードに多い契約形態です。

どの契約でも法人・代表者側は変更事項の届出をすべき

契約の形がどうであれ、法人カードが事業者を前提としたカードである事実に変わりはありません。そのため、法人側、代表者側は各種の変更が生じた際に届出をすべきといえます。社員が退職した場合の届出も必要です。

次の章では、カード会社に退職の届出をしなかった場合のリスクについて解説します。

退職の届出をすべき最大の理由は支払い責任

驚く外国人男性

退職の届出をしなかった場合、不本意な責任を追及されるリスクを抱えることになります。リスクマネジメントの観点からどのようなリスクが存在するのか、チェックしていきましょう。

法人カードを導入した事業者は追加カードにも支払い義務を負う

まず、法人カードを導入した事業者は追加カードについても支払い義務を負います。事業者との法人カード契約の存在を前提として発行されるのが追加カードであり、一切の支払い義務がないということにはなりません。

ただし、どの範囲で支払い義務を負うかについては、契約形態、契約内容によって異なります。

事業者責任型の追加カードは全額の支払い義務を負う

社員に対して代理人としての追加カードを発行しているケースでは、毎月の利用代金と年会費の両方について、事業者は支払い義務を負うことになります。

個人責任型の追加カード契約に限り年会費のみ支払い責任を負うことも

追加カードの名義人である社員が個人で責任を負う契約形態の追加カードについては、事業者には利用代金の支払い義務がない場合とある場合に分かれるため注意が必要です。利用代金の支払い義務がない場合に事業者として支払い義務を負うのは、追加カードの年会費についてのみとなります。ただし、違反行為などがあった場合に賠償義務を負う可能性はあります。

代表者は退職した社員の代理権喪失を届出るまでは支払い義務を負う

退職した社員には代理権がなくなりますが、通常は代理権の喪失を届出ない限り、カード会社には代理権がなくなったことがわかりません。したがって、退職後も追加カードを持ったままの元社員がカードを使うと、事業者はその支払い義務を負うことになります。個人責任型の契約であっても、年会費がかかるので安心できません。

届出を怠るとカード会社の心象が悪くなることもある

社員が退職して追加カードを使用する資格がなくなったにもかかわらず、その事実をカード会社に届出ないデメリットは、支払い義務の問題だけではありません。カード契約の重要な事柄を放置する事業者だとみなされて、カード会社の心象を悪くすることも考えられます。その結果、以後のカード利用に悪影響を及ぼさないとも限りません。

次の章では、退職した社員による悪用を防ぐためにすべきことについて解説します。

社員の悪用を防ぐためにすべき2つのこと

黒い手袋を付けて赤いカードを持ちパソコンのキーボードをさわる手

社員が退職することが決まったら、退職後に慌てないように以下の2点を確実に行いましょう。

  • 退職したことをカード会社に届出る
  • 貸与していた追加カードを回収する

表題の通りではありますが、簡単に説明いたします。

退職したことをカード会社に届出る

すでに述べたように、退職の事実をカード会社に届出ておかないと、勝手に使用された場合のリスクが大きいです。無駄なリスクを避けるためには、遅滞なく届出をすることが求められます。

貸与していた追加カードを回収する

退職した社員に不正使用されるのは、貸与していた追加カードの管理が疎かになっているためです。退職時にしっかりとカードを回収しておけば、退職後に使われることもありません。

回収したカードの処分方法

回収したカードは、カード会社の規定にしたがい返却するなど確実に処分します。一般的には、ハサミを入れて廃棄するなどです。念を入れてカード対応のシュレッダーにかけるとよいでしょう。カード会社に返却するよりも手っ取り早い処分方法といえます。

必要があれば別途追加カードを発行する

退職した社員の仕事を引き継ぐ社員がいる場合、その社員にも追加カードが必要になることがあります。やってはいけないのが、回収したカードをそのまま後任の社員に使わせることです。

クレジットカードを使用できるのは、例外なくカードの券面に記載・表示されている個人本人だけとなっています。後任の個人名義で発行している追加カードがない場合は、別途追加カードを発行することが必要です。

次の章では、退職した本人が注意すべき点について解説します。

社員を辞めたときの責任とすべきこと

談笑する2人の外国人女性

社員を辞めたときは、自分が使っていた法人カードの契約によってその後の責任が変わってきます。契約内容を確認した上で、適切な対応が必要です。

代理人として使用している社員には支払い責任がない

まず、代理人としてカードを使用していた場合はカード会社に対する支払いはすべて事業者、会社側が行うため金銭的な責任は生じません。ただし、経費として認められていない物品の購入やサービスの利用、私的な利用をしていた場合は、カード会社ではなく退職した会社から支払いを求められる可能性があります。

無用なトラブルを避けるためにもカードを返却する

退職後にも使用できる特約でもあれば別ですが、使用する資格がなくなったカードは持っておく必然性がありません。それどころか、必要ないカードを持っていることで、不正使用の疑いをかけられたり、紛失してしまったりといったトラブルも考えられます。自衛の手段としても、退職時にはカードを返却することが重要です。

次の章では、法人の代表者が辞めた場合の責任について解説します。

代表者・責任者を辞めた場合でも責任を負うことがある

パソコンを見ながら談笑する2人の外国人男性ならないことがあります。

メインとなる契約であり辞めた時点で会員資格を失う

法人の代表者が会社を辞めてしまうと、法人カード自体の契約の効力がなくなってしまいます。そもそも、法人カードの追加カードは法人代表者のカード契約があることを前提としたカードです。つまり、法人代表者が辞めれば契約上は追加カードも使えなくなってしまいます

責任を引き継ぐ者がいなければ支払い義務は消えない

元法人代表者にとって重要となるのは、辞めたあとのカード利用代金の支払いです。法的には法人代表者と法人は別の人格であり、法人の口座から引き落として支払う利用代金を辞めた元代表者が支払うケースは少ないでしょう。

しかし、法人の口座から引き落とせなかった場合など、法人として支払えなければ、法人代表者が支払うことになります。問題は、元代表者にも支払い義務があるかどうかです。自分が代表者を辞めるにあたり、正規の手続をとっていなかったり、責任を引き継ぐ者がいなかったりすれば、引き続き支払い義務を負うことになってしまいます。

代表者交代はカード切り替えの考え時

ここまで見てきたように、法人の代表者が交代すると、それまで使っていた法人カードの契約は継続できなくなります。新しい代表者の名義で新しく法人カードを契約することになるのです。

そのため、同じカードを契約しなおすよりも、より条件のよいカードに切り替えることを考えるよい機会となります。 続いて、実際のカード利用規約の例を確認しておきます。

監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美 監修者

監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美

年間、100本以上の記事執筆や監修を行っていますが、同じタイトルの記事でも、その時の経済情勢や法改正などで、内容は日々変わっていきます。『かかりつけのお金と人生の相談者』いうスタンスを大切に、最新かつ正確な情報をお届けすると共に、読者にとって「わかりやすい」記事を提供することを心がけています。

【専門家の解説】

法人カードの契約者は、そのカードについて全ての責任を負います
したがって、代表者が変わった際はもちろんのこと、追加カードなどの利用者が変わった際には速やかにカード会社に連絡する必要があります。
この連絡はあくまでも自己申告となりますが、自己申告であるからこそ大切なことだと理解してください。
そこまで影響がないだろうと思って放置していると、退職してから利用者の個人利用があった場合、その支払いについての責任を問われることになりかねません。
その際には、本文にあるとおり「期限の利益」を喪失することとなりますので、利用額全額を一括で支払う必要も生じます。
さらには、退職者が保有したままでいる限り、そのカードを盗難および悪用される可能性も否定できません。管理状況次第では、免責事項に該当せず、被害金額の支払いも生じるでしょう。

法人カードについては、退職後についても利用することは可能です。
それ故に上のようなトラブルを招く可能性が大きく、その後の処理も煩雑となります。
そのような事態に陥らないためにも、退任および退職のタイミングにおいて、カードの変更届や使わなくなったカードの回収などをきちんと行うことが大切です。
法人カードは会社の顔であると考え、保有中のマナー厳守、そして退職後など必要のなくなった際の手続きも疎かにしないことが、会社の信頼を保つことになると思っておきましょう。

実際の利用規約を見てみよう

ノートパソコンで作業する男性の手

法人カードと退職の関係について、実際の利用規約を例として見てみましょう。既に利用しているカードがある場合は参考に、もし別のカードを利用している場合はこの機会に利用規約を一読していただければ幸いです。

アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードの場合

まず、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードの会員規約に定められている内容です。

契約形態

ビジネス・カードを申し込む法人等の団体を法人会員と呼び、これにはカードの発行はありません。個人事業主または法人代表者に相当する個人に基本カードが発行され、社員には追加カードが発行されます。このとき、追加カードを使用する社員の立場は法人会員(会社などの団体)や基本カード会員(法人代表者や個人事業主)の代理人とする契約形態です。

法人会員と基本カード会員の責任

法人と法人代表者や個人事業主は、代理人として追加カードを使う社員の規約違反に対する責任を負います。また、基本カードはもちろんのこと、追加カードの支払いについても責任を負います。法人と法人代表者、個人事業主が負う支払い責任とは連帯債務です。退職した社員の追加カード使用については、退会手続が完了している場合を除いて責任を負います

会員資格の停止等

基本カード会員が代表権を失った場合は、会員資格の一時停止や取り消しなどの措置をとる場合があります。必ずそうなるわけではありません。会員資格の取り消しがあった場合は、カードを真ん中でふたつに切って返却する必要がありますが、返却できないときはアメックスの指示を受けます。

また、期限の利益を喪失するため、残債務の一括弁済を求められます。

退会時の扱い

法人会員が退会する場合は完全な清算です。基本カード会員と追加カード会員に発行されているカードを前述の方法で処分し、残債務を一括して支払います。基本カード会員が退会する場合も法人会員の退会と同じことです。追加カード会員だけが退会する場合は、カードの処理をするだけとなります。

退会後も法人と法人代表者、個人事業主が負う連帯債務の責任が消えるわけではありません

これらの内容は、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード会員規約の第1条と第2条、第10条、第11条に規定されています。

参考:アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カード会員規約 

JCB法人カードの場合

JCBでは、一般法人用、大型法人用など契約形態が複数あります。

契約形態

一般法人用の契約は、法人等の団体と個人事業主を法人会員と呼び、法人代表者や個人事業主、社員などカードを使用する者をカード使用者と呼ぶ契約です。このうち、代表者を代表使用者と呼びます。法人会員と代表使用者は支払責任者と呼ばれます。この契約でも、社員は代理人の立場です。

法人会員と支払責任者の責任

法人とその代表者、個人事業主は支払責任を負っています。アメックスと同様に、連帯債務を負担する内容です。退職した社員のカード利用についても、規約に定めた手続をとる前に使用した部分については支払義務があります。

また、代表使用者が法人の代表を辞めた場合やカード使用者の資格を失った場合でも、それだけでこの義務はなくなりません。責任を逃れるためには、新しく代表使用者を立ててJCB側の承認を得る必要があります。

これらの内容は、JCB会員規約(一般法人用)の第1条、第2条に規定されています。

参考: JCB会員規約(一般法人用)

使用者支払型法人用の場合

法人カードの使用者に支払い義務がある契約形態です。この契約では、法人はカード使用者である社員と一緒に支払い義務を負います。こちらは、JCB会員規約(使用者支払型法人用)の第1条、第2条に規定があります。

参考: JCB会員規約(使用者支払型法人用)

まとめ

法人カードの導入には、代表者である自分だけでなく追加カードを持たせる社員の退職についても考慮しておく必要があります。カードの管理を疎かにしていると、退職後の不正利用で無駄な支払いを強いられるかもしれません。また、役員を退任したときや、事業を廃止したときでも支払義務を逃れられない可能性が高い点にも要注意です。

法人カードを契約するときは、使い勝手や付帯サービスなどのスペックを比較することも重要ですが、責任に関する規約もよく検討してからにしましょう。

監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美
監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美

年間、100本以上の記事執筆や監修を行っていますが、同じタイトルの記事でも、その時の経済情勢や法改正などで、内容は日々変わっていきます。 『かかりつけのお金と人生の相談者』いうスタンスを大切に、最新かつ正確な情報をお届けすると共に、読者にとって「わかりやすい」記事を提供することを心がけています。

編集者:ナビナビクレジットカード編集部
ナビナビクレジットカード編集部

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