法人カードローンのメリットとデメリットまとめ!資金繰りには法人カードが有利な4つの理由
監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美
資金の調達が思い通りにいかず、窮地に陥った経験がある法人経営者や個人事業主も多いのではないでしょうか。銀行からお金を借りようとしても審査や手続きに時間がかかるため、返済期限が切迫している状況では、ほとんど役に立ちません。
法人カードローンは手軽に利用できますが、メリットばかりではなく多くのデメリットも存在します。そもそも、法人カードローンは「法人カード」と名前が似ていますが、両者は目的がまったく異なるのです。
そこで今回は、法人カードローンの特徴やメリット、デメリットを法人カードと比較しながら紹介していきます。資金繰りに有利なカードを見つけて、安定した事業運営に役立ててください。
この記事の目次
- 法人カードローンとは
- 法人カードローンと法人カードの違い
- 法人カードローンのメリット3つ
- メリット1:無担保無保証人で融資可能
- メリット2:最短で即日融資
- メリット3:総量規制の対象外
- 法人カードローンのデメリット4つ
- デメリット1:金利が高い
- デメリット2:利用限度額が低い
- デメリット3:返済期間が短い
- デメリット4:融資してもらえないことがある
- 資金繰りには法人カードが有利な理由4つ
- その1:利用限度額の幅が大きい
- その2:キャッシュフローが改善する
- その3:ポイントがおトクに貯まる
- その4:付帯特典が充実している
- 資金繰りに役立つおすすめの法人カード5選
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
- 三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック)
- オリコEX Gold for Biz S
- JCB CARD Biz一般
- 楽天ビジネスカード
- まとめ
法人カードローンとは
簡単に言うと、法人カードローンは、個人用カードローンの法人向けです。個人用ローンと大きく異なるのは、事業性の資金を借りられるという点になります。 ここでは、法人カードローンと法人カードの違いを解説します。
法人カードローンと法人カードの違い
法人カードは経費の削減や事務作業の軽減など、ビジネスを多方面からサポートしてくれる特典が満載のカードです。
一方、法人カードローンは、あくまでも事業用のお金を借りるためのカードなので、ビジネスに役立つ機能や特典はありません。両カードは用途がまったく異なるので、利用する際には注意が必要です。
次の項目では、法人カードローンを利用するメリットを3つ、ご紹介します。
法人カードローンのメリット3つ
事業運営の資金繰りに困ったときに法人カードローンを使う、その際のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
- 無担保無保証人で融資可能
- 最短で即日融資
- 総量規制の対象外
これら3つの具体的な例をみていきましょう。
メリット1:無担保無保証人で融資可能
法人カードローンを利用してお金を借りるときには、担保や保証人は不要です。法人の経営者だけではなく、個人事業主も保証人を立てる必要がありません。
ただし、ローン契約時に連帯保証人として代表者が名を連ねる必要はあります。事前に各ローンの規約を確認しておきましょう。
それでも、第三者の連帯保証人が要らないので、頻雑な手続きをすることなく事業用の資金を借りることができます。
メリット2:最短で即日融資
法人カードローンは、コンピューターによって自動的に融資の可否が判断されるため、最短60分でキャッシュを手にすることができます。
突然の支払いや返済など、手元にキャッシュがなければ倒産の危険に直面するというようなときに、短時間で現金が手に入るのは大きな魅力です。しかも、銀行のローンなどとは異なり、コンビニのATMからでも、即、現金を引き出すことができます。
黒字経営でも、キャッシュフローの悪化が原因で倒産する事業者は少なくないので、緊急事態を回避する方法としては有用といえるでしょう。
メリット3:総量規制の対象外
法人カードローンは、借入金の上限を年収の3分の1とする総量規制の対象になっていません。法人だけではなく個人事業主も対象外です。
次の項目では、法人カードローンのデメリットを解説していきます。
法人カードローンのデメリット4つ
法人カードローンにはデメリットも存在します。事業用とはいえ借金には変わりないので、利用する前にしっかりとデメリットを把握しておきましょう。
- 金利が高い
- 利用限度額が低い
- 返済期間が短い
- 融資してもらえないことがある
こちらもチェックしていきましょう。
デメリット1:金利が高い
法人カードローンの金利は最大で18%前後と、かなり高めに設定されています。無担保、無保証人で借り入れができる法人カードローンは貸し出す側のリスクも大きいため、どうしても金利条件が厳しくなるのです。
比較的金利の低い法人カードローンもありますが、金利が低い法人カードローンは、それに比例して利用限度額も低くなりがちです。
デメリット2:利用限度額が低い
法人カードローンの限度額は500万円前後が一般的です。もちろん、この金額は上限なので、必ず500万円の融資が受けられるというわけではありません。
むしろ、希望通りの金額を借りることの方が難しく、借入者本人の信用や事業業績によっては、想像以上に少ない金額を提示されるケースもあります。法人カードローンに手を出さなければいけないような緊急時に借入金が足りなければ、最悪の事態を招きかねません。
デメリット3:返済期間が短い
貸し倒れリスクを防ぐために、各金融機関は法人カードローンの返済期間を短めに設定しています。
返済期間が短く金利も高いため、場合によっては、さらなるキャッシュフローの悪化に繋がる危険性さえあります。いずれにしても、法人カードローンは長期的な借り入れにまったく適していません。
デメリット4:融資してもらえないことがある
ほとんど自動的に融資の可否が決められる法人カードローンは、融資までの時間も短くて済みますが、融資拒否の決定も短時間で下されます。
決算書や確定申告書などの内容だけではなく、申し込みの内容や書類に不備があると融資されないケースもあるので注意しましょう。いちど融資不可の判定が出てしまうと、いかなる交渉の余地もありません。
なお、法人カードローンの申し込みには、主に下記のような書類が必要になります。
法人代表者 | 個人事業主 |
・申込者の本人確認書類 ・商業登記簿謄本 ・決算書2期分 |
・申込者の本人確認書類 ・事業内容確認書類 ・確定申告書 |
次の項目では、法人カードローンよりも法人カードの方が資金繰りにはすぐれている理由を詳しく解説していきます。
資金繰りには法人カードが有利な理由4つ
法人カードを上手く活用すれば、金利が高く返済期間も短い法人カードローンを利用する必要もなくなります。ここでは、法人カードが有利である理由を4つ解説します。
- 利用限度額の幅が大きい
- キャッシュフローが改善する
- ポイントがおトクに貯まる
- 付帯特典が充実している
それぞれ下記で簡単に説明いたします。
その1:利用限度額の幅が大きい
カード会社にもよりますが、限度額は30万円から最大で1,000万円までと大きな幅があります。なかには、アメックスのビジネスゴールドカードのように、利用限度額の上限設定がない法人カードも存在します。
突然の大きな決済にもスムーズに対応できるのも、法人カードの大きな魅力です。
その2:キャッシュフローが改善する
法人カードで決済した金額が実際に引き落とされるのは、最長で約2ヵ月後になります。決済した時点では現金が口座に残っているので、ほかの用途に使うことも可能です。
また、法人カードのなかには、一括払いだけではなく、分割払いやリボ払いに対応しているタイプもあります。それぞれ手数料はかかりますが、現金を手元に残しておきたい事業主にとっては、多彩な支払い方法が大きな助けになるはずです。
その3:ポイントがおトクに貯まる
利用した金額に応じてポイントが貯まるのも、法人カードの大きな特徴です。カードによっては還元率が1%を超えるものもあります。
貯めたポイントは各社が指定する商品やマイルへの移行、キャッシュバックなど、好みの方法で還元できるため、経費削減にも繋がります。
その4:付帯特典が充実している
事業用融資に特化している法人カードローンとは異なり、空港ラウンジの無料利用や、ビジネスに役立つ情報検索サービス、国内外の旅行傷害保険などの付帯特典が充実しています。
経理の手間を軽減したり、現金の流れを一括管理したりすることもできるため、資金繰りを有利にしながら、業務効率の向上を図ることも可能です。
次の項目では、資金繰りに役立つ特典豊富な法人カードを5種類、紹介していきます。
資金繰りに役立つおすすめの法人カード5選
ここでは、いざというときに頼りになる、資金繰りに役立つ法人カードをご紹介します。利用限度額や支払い方法、年会費などは各カードによって異なるので、自分に適した法人カードを見つけて、資金の調達に関わる労力を軽減させましょう。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
アメックスビジネスゴールドの利用限度額は、各利用者の信用や実績によって上限が設定されています。場合によっては1,000万円の利用限度額を実現することも可能です。
利用限度額を上げるには、実績と信頼をコツコツ積んでおく必要があります。今は資金繰りに困っていなくても、いざというときのためにアメックスビジネスゴールドを作成しておけば、役立つ機会があるはずです。
国内外を問わず、あらゆるビジネスシーンで活躍するステータス性の高さも魅力。最高1億円の海外旅行保険や、多彩なビジネスサポートサービスなど、充実の付帯特典も見逃せません。
三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック)
利用限度額は最高で150万円と、それほど高くありませんが、1回払いのほかに2回払いやリボ払い、分割払いなどの支払い方法の選択が可能です。また、最高50万円のキャッシング機能が搭載されているので、ちょっとした入用のときなどにも役立ちます。
もともと、中小企業主や個人事業主向けの法人カードなので作りやすいのが特徴。初めての法人カードにも適しています。1,250円(税別)の年会費は、経費を圧迫することもありません。
オリコEX Gold for Biz S
1回払いだけではなく、2回払いや分割払い、リボ払い、据え置き一括払いなど、多彩な支払い方法に対応している個人事業主向けの法人カードです。キャッシング機能も搭載されているので、資金繰りが厳しい個人事業主にとっては、強い味方となるでしょう。
ゴールドカードの位置づけなので、最高300万円のショッピング枠や空港のラウンジ無料利用、年間最高100万円のショッピング保険など、充実したスペックを誇っています。
ブランドはVisaかMastercardを選択可能。どちらを選んでも、スムーズなタッチレス決済を利用することができます。
JCB CARD Biz一般
1回払いのほか、2回払いやボーナス払い、リボ払いなどの支払い方法も選べる法人カードです。設立直後の法人や個人事業主のキャッシュフロー改善には役立つでしょう。年会費1,250円(税別)と格安ながら、ショッピングの最高限度枠は100万円となっています。
海外だけではなく、国内の旅行傷害保険も最高3,000万円が付帯、さらに、海外で購入した商品は、最高100万円のショッピング保険が付帯しています。
また、利用金額に応じた貯まるOki Dokiポイントは、他社ポイントや、東京ディズニーリゾートのパークチケットなどに交換できます。
楽天ビジネスカード
単体での発行はできないので楽天プレミアムカードの会員になる必要はありますが、最高300万円の利用可能額は大きな魅力です。
1%という法人カードとしては極めて高い還元率も特徴。経費利用で貯まったポイントも個人の楽天プレミアムカードに合算されるため、楽天ポイントがザクザク貯まります。
追加カードの発行はできないので、資金繰りに活用したい個人事業主や零細企業向けの法人カードです。
まとめ
今回は、法人カードローンと法人カードの違いについてお話ししました。手軽に使える法人カードローンですが、メリットよりもデメリットの方が多いので、資金繰りに活用するなら法人カードを利用する方が無難です。
立ち上げ間もない法人や個人事業主は、期限間近の支払いに苦しむ時期が少なくありません。今回ご紹介したおすすめの法人カードを活用しながら、資金の調達とキャッシャフローの改善を目指していきましょう。
- 監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美
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年間、100本以上の記事執筆や監修を行っていますが、同じタイトルの記事でも、その時の経済情勢や法改正などで、内容は日々変わっていきます。 『かかりつけのお金と人生の相談者』いうスタンスを大切に、最新かつ正確な情報をお届けすると共に、読者にとって「わかりやすい」記事を提供することを心がけています。