法人カードとは?知っておきたい個人向けクレジットカードとの違い
監修者:クレジットカード専門家 菊地崇仁
法人カードには、ビジネスに役立つ多彩な特典が付帯しています。利用限度額の大きさも特徴です。実際に法人カードの作成を検討している事業主の方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、下記について解説していきます。
- 法人カードにはどのようなサービスがあるのか
- 法人カードと個人用クレジットカードは何が違うのか
- 法人カードを作成するメリットについて
- 事業でフル活用できるおすすめ法人カードを5枚紹介
法人カードについて詳しく知りたい方は、ぜひ本記事を最後まで読んで、法人カードの特徴を知り、自分に合ったカードを見つけてみてはいかがでしょうか。
このほか、事業でフル活用できるおすすめの法人カードも紹介します。
この記事の目次
- 法人カードとは
- 個人向けクレジットカードとの主な違い
- 法人カードならではの主なメリット5つ
- 効率的な事業運営の実現
- キャッシュフローの改善
- おトクなポイント制度
- 幅広いビジネスサービス
- 充実の付帯保険
- 法人カードのデメリット3点
- 審査基準がやや厳しい
- 年会費が必要
- ポイント還元率が低め
- 法人カードのランクとは
- スタンダードな「一般カード」
- バランスに優れた「ゴールドカード」
- ステータス性の高い「プラチナカード」
- 事業運営に役立つおすすめ法人カード5選
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
- JCB一般法人カード
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレスカード
- 三井住友ビジネスカード for Owners(ゴールド)
- オリコ EX Gold for Biz
- まとめ
法人カードとは
法人カードとは、法人や個人事業主に発行されるクレジットカードです。ビジネスカードやコーポレートカードも含めて「法人カード」と呼ばれます。
この章では、個人用クレジットカードと法人カードの主な違いについて解説します。
個人向けクレジットカードとの主な違い
もっとも大きな違いは、「引き落とし口座が法人口座になる」という点です。事業主や従業員が保有する個人口座から引き落とされるわけではありません。
従業員向けの追加カードも法人カードの特徴です。追加カードの利用代金も同じ法人口座から引き落とされます。なお、個人事業主は個人口座の指定も可能です。
利用限度額
用途が事業費なので、個人用のクレジットカードに比べると利用限度額は高めです。ゴールドカードで300万円前後、プラチナなら1,000万円を超えるカードもあります。
また、アメックス・ビジネス・カードなど一部の法人カードは利用限度額に上限がありません。
- クレジットカード専門家 菊地崇仁 解説
- 法人カードは発行できるカード枚数が決まっている物も多いため、会社規模によって申し込むカードが変わってきます。
- 例えば、MUFGカード・プラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードは社員向けのカードを99枚まで発行できますが、社員数が数百名を超えるような場合には全社員に配布できません。多くの場合、コーポレートと名前がついているカードは大企業向けとなり、ビジネスと言う名称のカードは中小や個人事業主向けのカードとなります。先ほどの、MUFGカード・プラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードはビジネスとついているため中小企業向けと考えると良いでしょう。
- 中には、JCBビジネスカードのようにビジネスとついた名称でも大企業向けのカードもありますので注意してください。
- カードの詳細ページには対象となる企業規模が書かれていますので、会社の規模に合ったカードを比較しましょう。比較内容は、事業で役立てられるかです。
- クレジットカードには様々な付帯サービスがついています。個人向けカードも同じですが、法人カードも法人向け特典が用意されているのが一般的です。
- この付帯サービスを使うかどうかを見極めてから申し込むのが重要です。
次の章では、法人カードならではの主なメリットを紹介します。
法人カードならではの主なメリット5つ
ここでは、法人カードの主なメリットを5つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
効率的な事業運営の実現
全ての利用代金は指定した口座から引き落とされるので、従業員用の追加カードやETCカードの利用代金も一元管理することができます。
有料道路の利用料金や接待費など、「誰が、いつ、いくら使ったのか」を簡単に把握できるので、効率的な事務処理が可能です。
法人カードは従業員用の追加カードを複数枚発行できるので、従業員による経費の建て替えも不要になります。
個人事業主は個人名義の口座を利用しますが、個人用のカードと法人カードを使い分ければ、個人的な出費と経費の仕訳も容易です。
キャッシュフローの改善
法人カードを使えば、利用代金が実際に引き落とされるまで最長で約2か月の猶予が生まれ、キャッシュフローが改善します。開業して間もない法人や、資金繰りで悩んでいる個人事業主にとっては大きな助けになるでしょう。
黒字経営をしている事業主でも、引き落とし日に現金が用意できず倒産してしまうケースは少なくありません。法人カードがあれば現金がなくても決済できるため、黒字倒産の防止にも繋がります。
おトクなポイント制度
法人カードを利用すれば、経費の支払い金額に応じてポイントが貯まります。ポイント制度は個人用クレジットカードと変わらないので、頻雑な手続きは不要です。
なお、還元率やポイントの交換先、制度の有無はカードによって異なるので、ポイント制度を活用したい方はカードの申し込み前に確認しておきましょう。
幅広いビジネスサービス
充実したビジネスサポートも、法人カードならではのメリットです。主に下記のようなサービスが付帯しています。
- 経営相談を利用できる「コンサルティングサービス」
- 空港ラウンジなどを無料利用できる「優待サービス」
- 経営上の問題点がわかる「経費改善レポート」
追加カードを発行すれば、福利厚生にも使えます。
充実の付帯保険
法人カードには、トラブル発生時に補償が受けられる各種保険が付帯しています。
主な付帯保険は下記のとおりです。
- 国内外の旅行傷害保険
- 法人カードで購入した商品の盗難、破損を補償する保険
- カードが不正利用された場合の補償
- 予約していた観劇などをキャンセルしたときの補償
法人カードによって補償内容は異なりますが、事業内容に合った保険が付帯しているカードを選べば、万が一の事態が発生しても慌てることはないでしょう。
次の章では、法人カードのデメリットを紹介します。
法人カードのデメリット3点
この章では、法人カードのデメリットを3点紹介します。
法人カードを作成する前に、メリットとデメリットの両方を知っておきましょう。
審査基準がやや厳しい
法人カードによっては、事業実績や決算内容を厳しくチェックされることがあります。
法人や個人事業主は倒産の可能性があるので、カード会社は貸し倒れのリスクを防がなければいけません。そのため、個人用のクレジットカードに比べると審査が厳しくなる傾向があるのです。
ただし、最近では申込者本人の信用履歴を重視する法人カードも増えてきています。
年会費が必要
法人カードは、所有しているだけでも年会費が発生します。追加カードの発行手数料や年会費も同様です。
ただし、法人カードの年会費は経費として認められるので、経営に影響を及ぼすほどの高額な年会費でなければデメリットにならないでしょう。また、追加カードの発行手数料や年会費が無料の法人カードも少なくありません。
ポイント還元率が低め
法人カードは0.5%前後の還元率が一般的です。個人向けのカードに比べると高いとはいえません。
しかし、年間利用額に応じて還元率が上がる「ステージ制」を導入していたり、提携店舗での利用でポイント倍率が上がる仕組みを採用していたりする法人カードもあります。
通常還元率が低いからと申し込みをやめる前に、各カードのポイント制度を詳しくチェックしてみてください。また、通常還元率が1.0%に達している法人カードもあります。
次の章では、法人カードのランクについて解説します。
法人カードのランクとは
法人カードには、主に下記のランクが設定されています。
この章では、各ランクの特徴を紹介します。
スタンダードな「一般カード」
ベーシックな法人カードです。格安の年会費が特徴で、1,000円程度の年会費を設定しているカードも少なくありません。審査も厳しくない傾向にあります。
スペックよりも作りやすさを重視したい方や、初めて法人カードを作る方におすすめです。
バランスに優れた「ゴールドカード」
使いやすさとステータス性の高さが特徴です。年会費はそれほど高くありませんが、300万円超の最大利用限度額や、パワフルな特典が付帯しています。
ゴールドカードは審査が厳しいイメージもありますが、決算書不要で申し込める法人カードもあります。
年会費と利便性のバランスに優れているため、ランク選びで迷ったときにはゴールドカードの選択がおすすめです。
ステータス性の高い「プラチナカード」
最高のステータスと最高のサービスが受けられる法人カードです。
飲食店での割引や無料優待、宿泊施設利用時のグレートアップなど、特典の内容が桁違いな法人カードも目立ちます。ワンランク上の法人カードを探している方は、作成を検討してみてください。
次の章では、事業運営に役立つおすすめの法人カードを5枚紹介します。
事業運営に役立つおすすめ法人カード5選
この章では、事業でフル活用できるおすすめの法人カードを5枚紹介します。
それぞれのカードが事業運営に役立つ理由も詳しく解説していますので、ぜひ法人カード選びの参考にしてください。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
設立間もない法人や事業主でも作成できるゴールド法人カードです。
世界で通用する高いステータス性は、会食や接待などのビジネスシーンでも堂々と使えます。
年会費は31,000円(税別)とやや高めですが、空港ラウンジの無料利用や、空港からの手荷物無料宅配など、国内外でのビジネスに役立つ充実の付帯特典は魅力です。
申込者本人の信用履歴が何よりも重視されるため、比較的審査が厳しくなく、起業後間もない事業主でも作りやすいカードです。初めて法人カードを作る事業主にもおすすめの1枚です。
JCB一般法人カード
活用次第でポイントが10倍以上になる法人カードです。
一般ランクならではのリーズナブルな年会費1,250円(税別)が大きな特徴。ETCカードは、年会費無料で複数枚発行することができます。
多くの社用車を抱えている方にとっては、手放せない1枚となるでしょう。コストを抑えて大幅な経費削減に役立つ法人カードを探しているなら、ぜひ作成を検討してみてください。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレスカード
世界1,300カ所以上の豪華な空港ラウンジが利用できる「プライオリティ・パス」が付帯した、プラチナランクの法人カードです。
最高利用限度額1,000万円という、プラチナにふさわしいパワフルなスペックが特徴。最大1.125%でJALマイルを貯められるのも魅力です。
年会費は20,000円(税別)と高めですが、年間の総利用額が200万円を超えれば翌年は半額になります。
事業利用で年間200万円は難しい条件ではないので、手頃な年会費でプラチナランクの法人カードを活用したい方には最適な1枚です。
三井住友ビジネスカード for Owners(ゴールド)
決算書や登記簿謄本なしで申し込める、個人事業主に適した法人カードです。
申込者本人の信用履歴が重視されるので、設立年数や事業実績は問われません。ゴールドカードながら年会費は10,000円(税別)と低めの設定でコスパにも優れています。
分割払いやリボ払いに対応しているだけではなく、キャッシング機能が搭載されているのも特徴です。資金繰りが厳しい開業したての事業主を多方面からサポートしてくれるでしょう。
オリコ EX Gold for Biz
年会費2,000円(税別)で利用できるリーズナブルなゴールド法人カードです。
通常ポイント還元率は0.6%と一般的ですが、年間利用額に応じたステージ制度導入しているので、最高で1.1%まで還元率がアップします。
分割やリボ払いなど多彩な支払い方法に対応。また、格安な年会費にも関わらず、300万円の最大利用限度額や最高2,000万円の海外旅行傷害保険など、ゴールドランクならではの充実したスペックも魅力です。
まとめ
今回は、法人カードについて詳しく解説しました。要点を改めてまとめます。
- 法人カードは事業費の決済に特化したカード
- 法人カードがあれば事業が効率化する
- ランク選びで迷ったらゴールドカードがおすすめ
事業内容に適したスペックの法人カードを選べば、最低限のコストで最大限の効率化が実現できるでしょう。
今回の記事で紹介した法人カードの選び方やおすすめの法人カードを参考にしながら、自社に最適な1枚を見つけてくださいね。
- 監修者:クレジットカード専門家 菊地崇仁
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約80枚のクレジットカードを保有し、約130万円の年会費を支払っている。 一般カードからプラチナカード等のプレミアムカードを実際に保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。すべてのカードを利用し、おトクな使い方、おすすめの使い方を日々研究中。