ブラックリスト入りでも法人カードは作れる?審査でチェックされるブラック状態4パターン
監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美
法人カードを作りたいと思っても、「もしかしたらブラックリストに入っているかも・・・」と心配になると尻込みしてしまいますよね。
また、どのような場合にブラックリストに載ってしまうか知りたい人もいると思います。
そこで今回は、クレジットカードのブラック状態4パターンについて解説するとともに、申込者がブラックリストに載っている場合でも法人カードを作成できるかどうかについて解説していきます。
この記事を読めば、ご自身がブラック状態かどうかや、現時点で法人カードを作れる可能性があるのかをある程度判断できるようになるはずです。
審査が不安な方はぜひ最後までチェックしましょう。
この記事の目次
- 法人カードの審査では代表者個人の信用力もチェックされる
- 代表者がブラック状態だと審査を通過しにくい
- 個人信用力があれば新規法人でも法人カードを作れる
- そもそも「ブラックリストに載る」とはどういう状態?
- 個人信用情報機関に事故情報が記録されている
- キャッシングや住宅ローンを利用できなくなる
- 社員がブラック状態でも追加カードは発行可能
- ブラックリスト入りする主なパターン4つと確認する方法
- 支払いを延滞したことがある
- 債務整理をしたことがある
- 多重申込をしたことがある
- 携帯電話の支払いが遅れたことがある
- ブラックリストは返済が終わってもすぐには消えない
- 自分がブラック状態かどうか「情報開示」で確認できる
- 信用力に不安がある方にもおすすめできる法人カード3選
- P-one Business Mastercard
- ライフカードビジネスライト
- ビジネクスト・法人クレジットカード
- クレヒスに問題がない場合のおすすめ法人カード3選
- アメックス・ビジネス・ゴールド・カード
- オリコEX Gold for Biz
- JCB法人カード一般
- まとめ
法人カードの審査では代表者個人の信用力もチェックされる
一般的な法人カードの入会審査では、会社の経営状況だけではなく代表者個人の信用力も重要になってきます。
審査では会社の設立年数や売上などがチェックされることが多いようですが、申込者本人の過去のカード利用履歴(クレジットヒストリー)も審査対象となります。
代表者がブラック状態だと審査を通過しにくい
申し込みをした代表者がいわゆる“ブラック状態”だと、法人カードの審査を通過しにくいと言われています。
ほとんどのカード会社は審査基準を公表していないため、詳しい合否ラインは不明です。
でも、カード会社は申込者のクレジットヒストリー(クレヒス)は必ず確認するので、何らかの問題がある場合は審査で不利になる可能性があります。
そのため、いくら会社の業績が好調でも、申込者の信用力が低いブラック状態だと審査を通過しにくいでしょう。
個人信用力があれば新規法人でも法人カードを作れる
反対に、個人信用力が高いと判断されれば、設立したばかりの新規法人でも法人カードを作成できる可能性があります。
法人カードの入会難易度はカードの種類やランクによって異なり、中には設立間もない会社や個人事業主を対象としたカードも見受けられます。
このようなカードは会社の業績を証明する書類の提出がほぼ不要なので、代表者個人の信用力が合否を左右することが予想されます。
次章では「ブラックリストに載る」とはどういう状態なのかをご説明します。
そもそも「ブラックリストに載る」とはどういう状態?
たまに耳にする「ブラックリスト」とは何のことなのか、具体的に見ていきましょう。
個人信用情報機関に事故情報が記録されている
ブラックリストというのは、個人信用情報機関に登録されている延滞や破産などの金融事故情報のことです。
私たちのクレジットカードの申し込み履歴や利用履歴は、すべて個人信用機関という機関でデータベース化されています。これがクレヒスです。
そして、カード会社は入会希望者のクレヒスをチェックして信用力を判断しています。
その際に、過去に長期延滞などの金融事故を起こしたことが判明すると、カード会社は貸し倒れのリスクがあるとみなして審査に落とすことがあるのです。
キャッシングや住宅ローンを利用できなくなる
ブラックリストに事故情報が載ってしまうと、クレジットカードの審査に通過しにくくなるだけではなく、キャッシングや住宅ローンを利用できなくなる可能性もあります。
個人信用情報機関のデータはカード会社以外の金融機関もチェックすることがあります。
そのため、ブラック状態だとお金を借り入れることが難しくなったり、住宅ローンが組めなくなったりと色々な制約が増えることが予想されます。
ブラックリスト入りした場合の住宅ローン審査の対処法はナビナビ住宅ローン「住宅ローンとブラックリスト|審査に通過するための対処法も解説」で紹介されているので、こちらも参考にしてみてください。
社員がブラック状態でも追加カードは発行可能
代表者ではなく社員のクレヒスに問題がある場合でも、会社一括決済方式のカードであれば社員用の追加カードは作成可能です。
会社一括決済方式とは、カード利用分が会社の法人口座から引き落とされる決済方法のことです。
社員個人の返済能力に問題があっても、法人カード分の支払いは会社がしてくれるので、基本的に社員の信用情報は審査対象にはなりません。
ただし、カードによっては社員の個人口座から引き落とされる個別決済方式のものも存在します。
個別決済方式だと社員個人の信用情報がチェックされるため、ブラック状態だと審査落ちする可能性があります。
ブラックリストの意味やリスクを確認したところで、次章ではブラックリスト入りする主なパターンや確認方法を解説します。
ブラックリスト入りする主なパターン4つと確認する方法
ブラックリストに掲載されてしまう主なパターンは以下の4つです。
- 支払いを延滞したことがある
- 債務整理をしたことがある
- 多重申込をしたことがある
- 携帯電話の支払いが遅れたことがある
それぞれの内容と自分がブラック状態か確認する方法などを詳しく見ていきましょう。
支払いを延滞したことがある
過去にクレジットカードの支払いを延滞したことがあると、事故情報としてその人の信用情報に掲載される可能性があります。
軽微な遅延なら掲載されない可能性もありますが、延滞や滞納が3ヶ月以上におよぶ場合や、軽微でも延滞を何度もくり返しているような場合は、高い確率でブラックリストに登録されてしまうでしょう。
悪意がなくても延滞の履歴があると信用力が低下するため、毎回きちんと支払いうことが大切です。
債務整理をしたことがある
債務整理のように借金について法的な手続きをしたことがある場合は、ほぼ確実にブラックリストに掲載されるでしょう。
債務整理は借金を減額したり帳消しにしたりする手続きなので、カード会社に「お金を貸しても踏み倒されるかもしれない」と思われてしまうのです。
ブラックリストに掲載される債務整理には以下のようなものがあります。
- 任意整理
- 民事再生
- 自己破産
なお、債務整理のうち、払い過ぎた利息分を返してもらう過払い金請求についてはブラックリストの対象外となっています。
多重申込をしたことがある
短期間に複数のクレジットカードに申し込むなど多重申込をしたことがある場合も、ブラックリストに掲載される可能性があります。
「短期間に」というのがポイントです。
たとえば1〜2ヶ月の間に3〜4種類以上のカードに申し込んだことがあると「審査に何度も落とされている人=信用力がない人」「お金に困っている人」と思われやすいです。
多重申込は銀行のカードローンや消費者金融などの利用も含まれます。
多重申込の履歴は半年くらい残るため、複数のクレジットカードなどに申し込みたい場合は半年以上あけてからにするのがおすすめです。
携帯電話の支払いが遅れたことがある
意外に思われるかもしれませんが、最近増えているのが、携帯電話料金の支払い延滞によるブラックリスト入りです。
スマホなど携帯電話は、多くの場合携帯の本体料金をクレジット分割払いする契約になっています。
そのため、月々の支払いが滞りがちな人は「新しいクレジットカードでもきっと遅延するだろう」とみなされて審査でも不利になる可能性があります。
また、奨学金の返済を滞納している場合も個人信用情報機関にデータが残るので注意しましょう。
ブラックリストは返済が終わってもすぐには消えない
気をつけておきたいのは、ブラックリストに掲載された情報は、返済を済ませたとしても消えるわけではないという点です。
延滞や債務整理などの事故情報は、個人信用情報機関に5〜10年間残ることになります。
これは返済が終わってからの保管年数なので、返済が遅れれば、さらに長期間ブラックリストに残ることになるのです。
なお、個人信用情報機関にはCIC(指定信用情報機関)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報機関)があり、機関によって保管年数は異なります。
気になる方は、金融事故を起こしたカードの発行会社が加入している個人信用情報機関の保管年数を公式サイトで確認しておきましょう。)
自分がブラック状態かどうか「情報開示」で確認できる
自分がブラックリストに掲載されているかどうかは、個人信用情報機関に情報開示請求をすれば確認することができます。
情報開示は契約内容や支払い状況といった自分の信用情報を確認できる制度で、過去の事故情報もチェック可能です。
情報開示請求の手続き方法は信用機関によって多少異なりますが、以下のような方法が選べます。
- パソコンやスマホによるインターネット開示
- 郵送開示
- 窓口開示
費用が1,000円程度かかることがありますが、確認しておけばブラック状態かどうか明確になるので心配な方はチェックしておきましょう。
この章では、ブラックリスト入りする4パターンや信用情報の確認方法などについてお伝えしました。
ご説明したように、ブラック状態を放置していると信用力は低いままなので法人カードの審査もかなり不利になります。法人カードを作りたい場合は、なるべく早く返済するなどクレヒスをきれいにすることから始めましょう。
ただそうはいっても、クレヒスをきれいにするのには時間がかかります。
そこで次章ではブラックリストに入っていても作れる可能性のある、審査があまり厳しくない法人カードを3枚ご紹介します。
信用力に不安がある方にもおすすめできる法人カード3選
法人カードの中には審査があまり厳しくないカードもあるため、自身の信用力に不安がある場合はそのようなカードを選ぶというのもひとつの方法です。
ここでは、入会難易度があまり高くないと考えられている法人カードを3枚ご紹介します。
P-one Business Mastercard
P-one Business Mastercardは、年会費無料の社員5名分のカード発行が可能な法人カードです。
代表者分の年会費は基本2,000円(税別)ですが、初年度は年会費無料。
前年度にカード利用があれば次年度も無料になるため、意識的に使えばコストをかけずに合計6枚のカードを保有することが可能です。
その割にポイントサービスやショッピング保険が付帯していて、年会費無料のETCカードなども利用できます。
審査の詳細は不明ですが、決算書の提出は不要で赤字決算でも申し込み可能とも言われているので入会ハードルはあまり高くないでしょう。
ライフカードビジネスライト
ライフカードビジネスライトは年会費無料ですが、福利厚生サービスや弁護士に1時間無料で相談できる法律相談サービスなどが付帯しています。
国際ブランドはVISA・Mastercard・JCBから選択でき、「Mastercardビジネス・アシスト」や「Visaビジネスオファー」といった実務に役立つ優待サービスも利用できます。
また、代表者の本人確認資料のみ提出すればOKで、WEB完結なうえ最短4営業日のスピード発行となっているため、設立間もない法人や、起業したての個人事業主にとくにおすすめのカードです。
ビジネクスト・法人クレジットカード
ビジネクスト・法人クレジットカードは本カードも社員用の追加カードも年会費永年無料です。
追加カードは50枚まで発行可能なので、なるべく多くの社員に持たせたい場合に便利です。
限度額100万円以下なら財務書類の提出不要で、設立直後の新規法人でも入会可能であることを公表しているため、一般的な法人カードより入会しやすいでしょう。
最後の章では、クレヒスに問題がない場合におすすめの法人カードを3枚ご紹介します。
クレヒスに問題がない場合のおすすめ法人カード3選
クレヒスがきれいな状態になったら保有を検討してほしい法人カードを3枚ご紹介します。こちらもチェックしておきましょう。
アメックス・ビジネス・ゴールド・カード
アメックスブランドのゴールド法人カードです。
ステータス性が高いのはもちろん、最高1億円まで補償される旅行傷害保険や空港ラウンジサービスなどワンランク上のサービスが付帯しています。
年会費は31,000円(税別)ですが経費計上できますし、ビジネス関連の情報収集や出張・接待に役立つ特典満載なのでその価値は十分にあるでしょう。
会食時にこのカードを出せば取引先からもの信頼性もアップするかもしれません。
オリコEX Gold for Biz
信販大手オリコカードの法人用ゴールドカードです。
法人向けのMタイプと個人事業主向けのSタイプがあり、どちらも年会費2,000円(税別)で初年度は年会費無料となっています。
ゴールドランクの割に年会費はリーズナブルですが、ポイント還元率は最大1.1%と高水準ですし、ビジネスサポートサービスやグルメ優待サービス、空港ラウンジサービスなど特典も充実しています。
低コストでゴールドカードを保有したい方におすすめです。
JCB法人カード一般
国産ブランドJCBの一般ランクの法人カードです。
一般ランクですが海外・国内旅行傷害保険が付帯し、利用額に応じたポイントも貯められるなど使い勝手の良い仕様になっています。
年会費は1,250円(税別)でオンライン入会をすれば初年度年会費無料です。
通常よりポイントがアップする優遇サービスが充実している上、ポイントの交換先も商品やギフトカード、他社ポイントプログラムなど選択肢が豊富なので利用しやすいでしょう。
まとめ
この記事の要点をおさらいしましょう。
- 法人カードの入会審査では代表者個人の信用力もチェックされ、クレヒスに問題があると通過しにくい
- 過去に支払いの延滞や債務整理などの金融事故を起こしたことがあると、個人信用情報機関のブラックリストに掲載される
- ブラックリストの情報は返済後5〜10年保管される
- 自分がブラック状態かどうかは個人信用情報機関に情報開示請求をすれば確認できる
基本的に、ブラックリストに情報が残っている間は代表者として法人カードを作成するのは難しいため、まずはクレヒスをきれいにすることが重要です。
中には審査があまり厳しくない法人カードも存在するため、審査が不安な場合はご紹介したようなカードを検討してみてはいかがでしょうか。
- 監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美
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