フリーランスになるにはどんな準備が必要?独立前にやること総まとめ
監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美
「いつかは独立してフリーランスになりたい」
「どうやったらフリーランスになれるの?」
フリーランスになるのに、何か資格が必要なわけではありません。誰でも明日からフリーランスを名乗ろうと思えば名乗れます。ただ、フリーランスとして一定の収入を得て、自分や家族を養っていけるかどうかは、それまでの準備と仕事の取り方、仕事のやり方にかかってくるでしょう。
本記事では、フリーランスになるにはどうしたらいいのかと考えている方のために、どのような手順を踏めばフリーランスとして収入を得られるようになるのかについて解説します。
また、フリーランスに法人カードの作成をおすすめする理由を説明した後、フリーランス向きの法人カードを紹介しています。
これからフリーランスとして独立を検討する際の参考にしてください。
この記事の目次
- フリーランスになるには? 満足できる収入を得るには準備が必要
- フリーランスになるにはまず段取りを進めよう!退職前の準備6つ
- 事業専用の銀行口座を作成
- 事業専用のクレジットカード(法人カード)を作成
- 必要なローンは先に組んでおく
- 事業の方向性決定と方向性に合わせた必要なスキルの獲得
- 案件を獲得する方法を確立
- 可能ならやっておきたいお試しの副業
- フリーランスになるには必要! 手続き関係もチェック
- 会社の退職に伴う手続き
- 起業に伴う手続き
- フリーランスに法人カード作成をおすすめする理由3つ
- 事業の経理にかかる手間が激減
- 現金払いでは受けられない、法人カードのポイント還元による経費節減の効果
- 個人カードに比べて利用可能枠が大きい傾向がある
- フリーランスになることを検討している人におすすめの法人カード5選
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
- オリコ EX Gold for Biz S
- JCB CARD Biz GOLD
- 三井住友ビジネスカード for Owners(ゴールド)
- 楽天ビジネスカード
- まとめ
フリーランスになるには? 満足できる収入を得るには準備が必要
フリーランスとは、人によってかなりイメージの違う言葉です。ここでは、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の「プロフェッショナルな働き方・フリーランス白書 2018」の定義に倣い、特定の組織に属すことなく、自身の専門性を活かしたサービスを提供して報酬を得ている人のことと定めます。
フリーランスの中でも、法人を設立したり個人事業主になったりして完全に独立している場合もあれば、本業として給与をもらいながら、副業として別の仕事を請け負っているという人もいて、その形は実にさまざま。
フリーランスになるには、特別な資格などは不要です。会社に在籍しながら、副業として仕事を請け負ってもフリーランスだと言えます。ただ、フリーランスの仕事である程度以上の収入を得るためには、段取りや手続き、自身のスキル向上などが必要です。
フリーランスの定義やフリーランスとなるのに特別な資格などはいらないということを説明しました。フリーランスとして仕事を得られそうだという目途がついてくると、会社を辞めてフリーランスとしての仕事に専念したい、と考える人もいるでしょう。
そのような人は、退職前に必要となる段取りがいくつかありますので、次に退職前の準備について解説します。
フリーランスになるにはまず段取りを進めよう!退職前の準備6つ
フリーランスの仕事に専念したい、と何も準備をせずに会社を辞めてしまうと後悔することがいくつかあります。退職前に準備しておきたいことは以下の6点です。
- 事業専用の銀行口座を作成
- 事業専用のクレジットカード(法人カード)を作成
- 必要なローンは先に組んでおく
- 事業の方向性決定と方向性に合わせた必要なスキルの獲得
- 案件を獲得する方法を確立
- 可能ならやっておきたいお試しの副業
これらの内容について詳しく説明します。
事業専用の銀行口座を作成
会社を退職してフリーランスとしてやっていく場合、基本的には個人事業主として開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出するのが一般的です。確定申告を青色申告にすることによって、税制上の特例を受けられるようにすることで節税が可能になります。
青色申告で確定申告する際は、会計関連の書類は複式簿記にて作成する必要があり、日々の経理業務での帳簿づけが欠かせません。この帳簿づけでは、事業専用の銀行口座を作成しておくことで、経理業務の手間が軽減されます。
これまで使用してきた銀行口座ではなく、新しく事業専用の銀行口座を作り、事業関連の入出金はその口座に集中させましょう。退職後でも銀行口座は作れますが、退職前に準備しておくと、退職後スムーズに経理業務を始められます。
事業専用のクレジットカード(法人カード)を作成
事業における必要経費の支払いは、事業専用のクレジットカードを作成して使うようにしましょう。引き落とし先の銀行口座は、事業専用の口座にしておきます。このようにしておくことで、事業の財務状況が銀行口座を見るだけで一目瞭然です。
個人の支払いや入金などが含まれていると、会計処理が複雑になり、個人の取引については「事業主貸」「事業主借」が入り混じります。結果として事業の資金繰りが見えづらくなり、個人用の支払いを事業用の経費と間違って登録してしまうということも起こり得ます。
税務相談をする場合や税務署からの調査に対応する場合も、事業専用の銀行口座とクレジットカードがあれば、個人の入出金を他人に見せる必要はありません。
また、クレジットカードは、個人用のカードよりも法人や個人事業主向けに作られている法人カードを選ぶことをおすすめします。法人カードはビジネスで使われることを前提としているため、ビジネス関連のサービスや国内外の出張に役立つサービスを豊富に用意しているためです。
必要なローンは先に組んでおく
会社員は、定期的に給与があり安定しているとされ、ローンを借りやすい傾向にあります。住宅ローンや自動車のローンなど、大型のローンを組むことは、フリーランスになると難しくなると考えておいてください。こういった大型のローンを組みたい場合は、会社員であるうちに手続きを済ませておきましょう。
「フリーランスでも年収が高ければローンは組めるはず」と思っていたが、実際にローンを申し込んでみると断られたという例は少なくありません。
事業の方向性決定と方向性に合わせた必要なスキルの獲得
すでに、フリーランスとしての仕事は何をするか、その仕事は継続性があるか、必要なスキルは身についているかなど、フリーランスとして生きていけるかどうかの検討はできているでしょうか。仕事の方向性決定と足りないスキルの獲得は、退職前に済ませておきたい重要な課題です。
案件を獲得する方法を確立
案件獲得をどのようにやっていくかという方法の確立も、できれば退職前に準備しておきたいことです。クラウドソーシングなどのサービスを利用するか、これまでの人脈が使えるかなど、まだ考えていない場合は至急検討する必要があります。
これまでやってきた仕事をフリーランスで行うなら、今まで築いてきた仕事上の人脈を振り返り、仕事を流してもらえるように対人関係を見直してみるのもひとつの方法です。
逆に、新分野に挑戦する場合は、その分野の知識を身に付ける勉強も必要で、インターネット上のサービスを使って案件を見つけるか、新たに活躍する分野の人脈を広げる必要があります。
可能ならやっておきたいお試しの副業
案件を見つける方法を確立する過程でのひとつのやり方として、可能であればクラウドソーシングサービスなどに登録してお試しの副業を始めてみましょう。副業として現在の業務とは違う仕事をやってみることで、自分はフリーランスとしてやっていけるのかどうかという感触が得られる場合もあるためです。
ただし、会社の就業規則で副業できないと規定されていないかは確認が必要です。自分のやりたい仕事がなかなかお試しできない場合でも、アルバイトとして働いてみるなどの方法を検討してみてください。
独立系フリーランスとなるべく会社を退職する前に、準備しておくことについて解説しました。次に、フリーランスになるための手続き関連についても説明します。
フリーランスになるには必要! 手続き関係もチェック
フリーランスとして独立する前にやっておきたい手続き関連についても、前もって確認しておき、漏れのないようにしましょう。会社の退職に伴う手続きと、企業に伴う手続きに分けて説明します。
会社の退職に伴う手続き
会社の退職の伴う手続きとして、最低限やっておきたいことを説明します。
- 厚生年金から国民年金への切り替え
- 健康保険の切り替え
これらの手続きについて見ていきましょう。
厚生年金から国民年金への切り替え
会社を退職すると、厚生年金は脱退となり、国民年金への切り替えが必要です。
ただし、配偶者が厚生年金加入者(国民年金第2号被保険者)の場合は、配偶者の被扶養者(国民年金第3号被保険者)となることもできます。国民年金第3号被保険者になる場合は、配偶者の方で手続きをしてもらうようにしましょう。
配偶者がいない場合や配偶者の被扶養者にならない場合は、会社を退職して14日以内に、地元の役所で国民年金第1号被保険者となる手続きが必要です。
退職後は他にもいろいろとやるべきことがあり忘れてしまいがちですが、早めに切り替えておきましょう。
健康保険の切り替え
年金とともにやっておかなければいけないのが健康保険の切り替えです。会社にいる間は、会社の健康保険組合などに加入していますが、退職すると今後の健康保険をどうするかの選択肢が3パターンあります。
- 地方自治体の国民健康保険加入
- これまで加入していた会社の健康保険組合の任意継続(2年間限定)
- フリーランスとして働く業界に関連する国民健康保険組合
地方自治体の国民健康保険
地方自治体の国民健康保険は、自治体によって保険料に大きな違いがあります。自分の自治体では、国民健康保険料がいくらかかるか、必ず計算してみてください。インターネット上で各都道府県・地方自治体の国民健康保険料を計算できるサイトもあるので、試算してみましょう。
健康保険組合の任意継続
自身が扶養している人数が多い場合は、健康保険組合の任意継続が金額的に低くなる場合が多いです。2年間という期限付きですが、任意継続を選択する人も少なからずいます。
健康保険組合に加入する
第3の選択肢として、健康保険組合に加入するという手があります。フリーランスが加入しやすい健康保険組合として、所定の団体に所属していれば、所得にかかわらず一律の保険料で済む「文芸美術国民健康保険組合」や、任意団体に所属しなくても、所定の地域に居住していて指定の仕事をしていると認められた場合に加入ができる「大阪文化芸能国民健康保険組合」などがその一例です。
自分にとってもっとも条件の良い健康保険はどれなのか、事前に計算して確認をとっておき、退職後にすぐ手続きを進めるようにしましょう。
起業に伴う手続き
フリーランスとしての起業に伴う手続きで必要なことは、個人事業主になり、青色申告ができるように申請しておくことです。これらの手続きは、税務署内で同時に済ませることができます。印鑑以外には特に必要な書類などはありません。
開業届を出していなくてもフリーランスとして活動はできます。その場合は、確定申告を白色申告で行うことになり、税制上の特例措置はあまり受けられません。青色申告にすることで、国民健康保険料が安くなるというメリットもありますので、できれば個人事業主で青色申告できるようにしておきましょう。
所轄の税務署にて開業届を提出
まず提出する書類は、個人事業主として事業をすることを届け出る開業届です。確定申告の時期を外して税務署の窓口へ出向きましょう。時間的に余裕があるときなら、職員さんも丁寧に書き方を教えてくれますので、スムーズに書類の作成が行えます。
このとき、自分でも控えを持っておくために、2部作成するようにします。クラウド会計ソフト「freee」のように、開業届を自動的に生成してくれるソフトもあるので、事前に自宅で2部作成して持っていってもいいでしょう。
同時に青色申告承認申請書を提出
開業届を提出してから2ヶ月以内に、青色申告承認申請書も提出します。
ただし、開業届と間を開ける必要性は特にないため、同時に届け出る人も少なくありません。今年度の確定申告を青色申告にしたければ、その年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出しなければなりません。間に合わない場合は、青色申告可能な年は翌年度以降になります。
ここまでで、会社を退職した後の手続きについて解説しました。次に、フリーランスになる場合、法人カードの作成をおすすめする理由について説明します。
フリーランスに法人カード作成をおすすめする理由3つ
フリーランスになろうと考えている方は、事業専用のクレジットカードとして、法人カードを作成することをおすすめします。その理由は以下の通りです。
それぞれの内容について詳しくみていきましょう。
事業の経理にかかる手間が激減
法人カードを事業専用のクレジットカードにしておくと、カードの利用明細がすべて事業の経費となり、仕訳の手間が軽減されます。
また、多くの法人カードは、クラウド会計ソフトのどれかをサービス価格で提供しているため、クラウド会計ソフトを導入しようと考えている方にとっては大きなメリットです。
サービス価格で提供されたクラウド会計ソフトとデータ連携した銀行口座と法人カードの情報は、自動的にソフト内に取り込み、仕訳されていくので、手入力の手間もかからず便利です。
現金払いでは受けられない、法人カードのポイント還元による経費節減の効果
個人カードと同じく、法人カードにもポイント還元制度があります。平均的なポイント還元率は0.5%ですが、中には1.0%という高いポイント還元率を誇る法人カードもあります。
ポイント還元は、現金払いにした場合に入ってこない金額です。ポイント還元で法人カードを選ぶときは、ポイントのたまりやすさはもちろんですが、ポイントの使いやすさにも注目してみてください。ポイントの使い道が広ければ広いほど、会社の経費として再利用しやすいということです。
個人カードに比べて利用可能枠が大きい傾向がある
ビジネス利用で、時には高額の広告費や旅費などがかかる場合も考えて、法人カードの利用可能枠は広めに設定されている場合があります。利用可能枠が大きいに越したことはないため、法人カードは事業専用カードとしておすすめです。
まだフリーランスとして働いておらず、必要経費についてイメージがわかない場合も、どんな時に必要経費を支払うのか、頭の中で考えてみてください。仕事をする上で購入しなければいけない消耗品代やインターネットの回線使用料などを必要経費として計算しましょう。
概算の経費が計算できたら、その合計額の2倍以上の利用可能枠を持つ法人カードを選ぶようにします。
ここまでで、フリーランスになる人に法人カードをおすすめする理由について解説しました。最後に、フリーランスになる人におすすめの法人カードを5枚紹介します。
フリーランスになることを検討している人におすすめの法人カード5選
これからフリーランスになることを予定している人におすすめの法人カードをご紹介します。どの法人カードも個人事業主向けの法人カードです。
会社員としての勤続年数が長い人の場合は、クレジットカードの審査に通過しやすいため、ご紹介する法人カードはすべてゴールドクラスに統一しています。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード(以降、アメックスビジネスゴールド)は、ゴールドカードクラスの中でもステータス性が高く、付帯サービスも手厚い法人カードです。
アメックスビジネスゴールドの大きな特徴は、利用可能枠に一律の定めがない点です。審査に通過しやすい代わりに最初の段階では設定されている利用可能枠が狭い場合があります。
しかし、良好なクレジットヒストリーを積み上げていくうちに、利用可能枠は上がっていきます。また、一時的に高額の商品をカード払いで購入したい場合、事前に届け出ることによって可能枠を超えたショッピングも可能です。
オリコ EX Gold for Biz S
オリコの個人事業主向けに用意されている法人カード。利用可能枠が300万円とかなり大きく、フリーランスとして活躍するときもある程度余裕を持った資金繰りを可能にしてくれる点は、本カードの大きな魅力です。
また、返済方式が選べて、手数料無料の返済方式が1回払い、2回払い、据置き一括払いと3種類も選べる点も、資金繰りが大変な時には助けてくれます。
年会費も2,000円(税別)とリーズナブルです。まだ起業直後で収入が安定せず、年会費もできる限り抑えたいという方におすすめです。
JCB CARD Biz GOLD
JCBの個人事業主向けの法人カードで、フリーランスも審査に通過しやすいと評判のカードです。
海外旅行傷害保険、国内旅行傷害保険、国内・海外航空機遅延保険などが自動付帯で付いてきます。国内主要空港ラウンジが無料で利用できます。
また、本カードは、ETCカードも年会費無料で発行可能です。
事業で車を利用する機会が多く、年会費のかからないETCカードが欲しいと考えている方におすすめです。
三井住友ビジネスカード for Owners(ゴールド)
利用可能枠は300万円あり、ビジネスサポートサービスも充実している法人カード。
ゴールドカードの場合、海外旅行だけでなく国内旅行の傷害保険も付帯しているため、出張時の経費は本カードで支払うようにしておくと安心です。
ビジネス関連のサービスでは、事務用品を素早く届けてくれるアスクルサービス、レンタカー関連のサービスなどがあります。
支払方法が数種類から選べ、キャッシングもできる点は、個人カードに似た使い勝手の良さがあります。利用可能枠の広さや付帯サービスの手厚さなど、総合的にバランスのいいサービスを提供している法人カードです。
楽天ビジネスカード
楽天ビジネスカードは、楽天カード系の法人カードで、個人カードの楽天プレミアムカードの追加カードという形でのみ発行可能です。
楽天プレミアムカードと楽天ビジネスカードは、それぞれ引き落とし口座を別に設定でき、利用明細書も楽天プレミアムカードと別になるので、事業にかかっている経費を把握しやすくなります。
楽天ビジネスカードのメリットは、楽天市場利用の際、支払いに楽天ビジネスカードを選ぶとポイントが通常の5倍になるという点でしょう。必要経費として楽天市場で支払いを済ませることが多い場合は、ポイントを多くためられる点が魅力です。
利用可能枠は、楽天プレミアムカードと合算して300万円なので、個人利用分との調整を意識しなければいけない点は注意しましょう。
まとめ
フリーランスになるために準備しておきたいことと必要な手続きについて解説しました。
何もしなくても「フリーランス」を名乗ることは簡単にできます。
しかし、継続的な収入を得て、会計処理も整えて青色申告できるようにするなど、やっておきたいことは少なくありません。 青色申告に必要な会計処理を簡素化する上で重要なポイントは、事業専用の銀行口座と法人カードを作ることです。
フリーランスとして事業を進めていく際使いやすい法人カードはいくつかありますが、それぞれ付帯サービスに違いがあります。自分にとって使いやすいサービスを提供している法人カードを探して、事業専用に契約しておきましょう。
- 監修者:トータルマネーコンサルタント 新井智美
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年間、100本以上の記事執筆や監修を行っていますが、同じタイトルの記事でも、その時の経済情勢や法改正などで、内容は日々変わっていきます。 『かかりつけのお金と人生の相談者』いうスタンスを大切に、最新かつ正確な情報をお届けすると共に、読者にとって「わかりやすい」記事を提供することを心がけています。