ふるさと納税と医療費控除の関係・金額・注意点をわかりやすく解説!

医療費控除を申請すると所得税から控除されますし、同じようにふるさと納税の寄付金控除も所得税から控除されるので、併用できるのかわからない方もいるかと思います。
実は、医療費控除を受けていても、ふるさと納税を行うことは可能です。
しかしこれらを併用すると、ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用できず、確定申告が必要です。
また医療費控除を受けると、ふるさと納税で寄付できる上限額が減少します。
そこで、この記事では医療費控除とふるさと納税を併用することで、どれくらい控除を受けられるのかを理解していただくために、以下についてお伝えしていきます。
ふるさと納税と医療費控除を併用するためにはいくつか注意点がありますが、それらをしっかり押さえることで自分の控除額を計算することも可能です。
ぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
医療費控除を受けている人でもふるさと納税を行うべき理由
医療費控除を受けると、ふるさと納税で寄付できる上限は減ってしまいますが、実質2,000円で豪華な返礼品と交換できることは変わりません。
これらを併用するには確定申告が必要ですが、節税効果は共に大きいため、しっかりと活用しましょう。
もし、「医療費控除とふるさと納税を併用するなら確定申告が面倒...」と思われている方は、「さとふる」からふるさと納税を申し込むのがおすすめです。
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そのため、確定申告が苦になることはありませんので、ご安心ください。
ここからは、ふるさと納税と医療費控除の仕組みについて理解していただくために、以下で解説します。
ふるさと納税と医療費控除の仕組み
ふるさと納税と医療費控除は併用できることはお伝えしましたが、まずは「ふるさと納税」と「医療費控除」の仕組みをしっかりと理解しておく必要があります。
税金の控除は複雑でわかりにくいこともあるため、以下の2つに分けて解説します。
ふるさと納税で税金が控除される仕組み
ふるさと納税で税金が控除される仕組みを知る前に、所得税の決まり方を知る必要があります。
所得税=
収入 - 必要経費(会社員であれば給与所得控除) - 所得控除
なお住民税は年末調整や確定申告で所得税が決まり、そのデータを元に市区町村が算出します。
つまり所得税や住民税を少なくするためには、
- 収入を減らす
- 必要経費を増やす
- 所得控除を増やす
のいずれかを行う必要があるのです。
収入を減らすことや必要経費を増やすことは、現実的に難しいため、所得控除を上手く利用するかが節税の鍵を握ります。
その所得控除の一つとして、ふるさと納税があります。
ふるさと納税を行うと、寄付金額の2,000円を超える部分について所得控除が受けられるため、所得控除の金額を増やすことができます。
たとえばある自治体に対し、20,000円の寄付を行った場合、2,000円を超える18,000円が所得控除となります。
以前はふるさと納税で所得控除を利用するには確定申告が必要でした。
ところが最近では、一定の条件を満たせえば「ワンストップ特例」が活用でき、確定申告不要で所得控除が受けられます。
ふるさと納税には収入金額に応じて上限金額が決まっているため、自分の控除上限金額がいくらなのか、ふるさと納税の専用サイトなどで確認しておきましょう。
医療費控除の仕組み
医療費控除は、1月1日から12月31日の1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合に、一定額を所得から控除できる仕組みです。
なお、年間の所得金額が200万円未満の方は、総所得の5%を超えると控除を受けることができます。
医療費を支払うと、自分が加入している健康保険組合から
- 医療費通知
- 医療費のお知らせ
以上のような書類が送られてきます。
これらの書類から自分が支払った医療費の金額をおおむね確認できます。
ちなみに、医療費控除は医療費だけでなく、通院にかかった交通費なども医療費控除として請求できます。
これらの金額と医療費の合計が年間10万円を超えていれば医療費控除の申請が可能です。
また、自分自身だけの医療費だけでなく、生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費も含めることができます。
医療費控除の計算式は以下の通りです。
実際に支払った医療費の合計金額 - 保険金などで補填される金額(※1) -10万円
(※1)生命保険契約などで支給される入院給付金や健康保険で支給される高額療養費・家族療養費・出産一時金など
例)年収400万円で医療費が年30万円かかった場合
|
なお、医療費控除を受けるためには、対象になるものと対象にならないものがあります。
医療費控除の対象 |
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医療費控除の対象外 |
|
医療費控除を受けるためには、年末調整では処理できないため、必ず確定申告を行う必要があります。
その際、診療のための領収証やレシートが必要になりますので、必ずとっておきましょう。
セルフメディケーション税制を利用した場合
セルフメディケーション税制とは、平成29年1月1日以降にスイッチOTC医薬品を購入した場合、その購入費用に対し所得から控除が受けられる制度です。
【参考】セルフメディケーション税制の対象医薬品一覧 |
前述の通り、医療費控除は自己負担した医療費の合計額が1年間に10万円を超えなければなりませんでした。
さらに、健康診断の受診料や、市販の医薬品の購入などは対象外でした。
医療費控除との違いは、健康診断の受診料や、予防接種の費用、自分はもちろん家族が購入した市販の医薬品の購入金額が年間12,000円を超えると確定申告を行うことで所得から控除を受けることができることです。
セルフメディケーション税制を利用すると、確定申告が必要であるため、ふるさと納税のワンストップ特例を利用することができません。
すでにワンストップ特例を申請した後でセルフメディケーション税制を利用した場合、確定申告の際に改めてふるさと納税を実施した金額の申告が必要になります。
医療費控除とふるさと納税を一緒に利用する影響
医療費控除とふるさと納税を一緒に行うことは可能ですが、2つの注意点があります。
それぞれについて、以下で詳しく解説します。
1.ふるさと納税で寄付できる上限額が引き下がる
医療費控除を受け、ふるさと納税を行う場合は、事前にシミュレーションで上限金額を把握しておくといいでしょう。
一般的には、医療費控除を申告する額の約2%を引いた額が、ふるさと納税の控除上限額の目安です。
以下で、医療費控除やふるさと納税で所得が控除される仕組みについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
給与収入の確認
会社員の方は年末調整の際に源泉徴収票を受け取り、「給与・賞与」の欄から給与収入の確認を行います。
「収入」と「所得」はよく混同されますが、税制上は全くの別物です。
給与収入は、額面での収入(総支給額)だと理解しておきましょう。
給与所得控除の金額の計算
会社員でも仕事のために衣服や靴、その他備品などを購入することはあるはずです。
会社のために支出をした場合を考慮し、会社員でも収入に応じて「給与所得控除」という形で控除を受けることが可能です。
給与等の収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
1,800,000円以下 | 収入金額×40% →650,000円に満たない場合は650,000円 |
1,800,000円超3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超 | 2,200,000円(上限) |
所得控除の計算
所得控除とは、所得税額の計算を行う上で、個人の状況に応じて様々な控除を受けられる税制です。
- 社会保険料控除
- 基礎控除
- 住宅ローン控除
- 配偶者控除、配偶者特別控除
- 扶養控除
- 生命保険料控除
- 医療費控除
- 寄付金控除
ふるさと納税は寄付金控除に該当します。
所得の決定
給与所得控除後の金額から所得控除の金額を差し引いた金額が所得税額です。
所得税額=
給与所得控除後の金額-所得控除
所得税の決定
所得税額が決定すると、所得金額に応じて税率がかけられ所得税が決定します。
所得税は累進課税と言われ、所得が大きければ大きいほど税率も高くなります。
なお、住民税については、自治体にもよりますが、おおむね所得に対して10%です。
詳しくは、お住まいの自治体のホームページなどで住民税の確認をしておくといいでしょう。
医療費控除と併用する場合の上限額の計算方法
医療費控除とふるさと納税の併用で、ふるさと納税の控除上限額が少なくなる金額は、おおむね医療費控除の金額の約2%とお伝えしました。
医療費控除の金額が20万円の場合、4,000円程度です。
ふるさと納税の寄付金上限額は、所得税額と同時に算出される、住民税所得割額によって計算できます。
つまり、所得控除を利用すると、その分だけ住民税所得割額は小さくなります。
住民税の個人住民税率は10%なので、医療費控除額の10%だけ住民税所得割額が小さくなります。
ふるさと納税の寄付上限額は以下の計算式で決定します。
寄付上限額=
(住民税所得割額×0.2)÷{(90%-所得税率×1.021)÷100%}+2,000円
この計算式から、ふるさと納税の寄付上限額は所得税率と住民税所得割額によって変動します。
医療費控除として30万円控除された場合、10%の3万円分の所得割額が減少します。
計算式が少し複雑ですが、損をしないためにもしっかりと寄付上限額は確認しておくとよいでしょう。
2.確定申告でしか控除を申し込めなくなる
医療費控除を利用すると、ふるさと納税で申請したワンストップ特例が無効になります。
ワンストップ特例とは、2015年4月から利用できるようになった制度で、1年間に5自治体までふるさと納税を行った場合は、確定申告をせずに申請書を提出するだけで所得控除が受けられる便利な制度です。
ワンストップ特例でふるさと納税を行うと、所得税からの控除は発生せず、翌年納税する住民税の減額で控除されます。
ところが医療費控除を受けるには、どのような場合でも必ず確定申告をしなければなりません。
そのため、ふるさと納税でワンストップ特例を申請していても、特例が無効となり確定申告が必要になります。
セルフメディケーション税制も同様に確定申告が必要であるため、併用する場合は確定申告を行いましょう。
なお、確定申告の際は医療費控除もふるさと納税も同時に確定申告をすることは可能です。
普段から確定申告をされている方であれば問題なく手続きできますが、一度も確定申告を行ったことがない方にとっては面倒な手続きを行う必要がでてきます。
ワンストップ特例は、ふるさと納税を行う上でとても便利な制度でしたが、そちらが使えなくなるのはデメリットの一つです。
仮に確定申告をすることになっても、さとふるの「カンタン確定申告」では、1つの画面に必要事項を入力するだけで簡単に確定申告を行うことができます。
あなたの控除額はいくら?併用したときの控除上限額の計算方法
ふるさと納税の控除上限額は以下の計算で算出されます。
控除上限額=
個人住民税所得割額×20%÷{100%-住民税の税率-(所得税率×復興税率)}+2,000円(負担金)
それでは具体的に医療費控除を利用した時の、ふるさと納税の控除上限額のシミュレーションを行いましょう。
(例1)
|
- ふるさと納税の限度額(医療費控除を申請しない場合) ⇒ 53,560円までの寄付で自己負担2,000円
- 医療費控除を受ける場合の寄付できる限度額 ⇒ 47,161円までの寄付で自己負担2,000円
(例2)
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- ふるさと納税の限度額(医療費控除を申請しない場合) ⇒ 69,953円までの寄付で自己負担2,000円
- 医療費控除を受ける場合の寄付できる限度額 ⇒ 64,940円までの寄付で自己負担2,000円
(例3)
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- ふるさと納税の限度額(医療費控除を申請しない場合) ⇒ 61,781円までの寄付で自己負担2,000円
- 医療費控除を受ける場合の寄付できる限度額 ⇒ 58,774円までの寄付で自己負担2,000円
ふるさと納税の控除上限額は、家族構成や利用している所得控除、医療保険の保険金額などに応じて異なります。
自分がいくらまでなら自己負担2,000円でふるさと納税が行えるのか、ふるさと納税の各種サイトなどでしっかりとシミュレーションをしておくとよいでしょう。
まとめ
ふるさと納税と医療費控除が併用できるのかについて解説してきましたが、いかがでしたか?
今回のポイントは以下の通りです。
- ふるさと納税と医療費控除は併用できるが、確定申告が必要
- 医療費控除同様にセルフメディケーション税制もふるさと納税と併用できる
- 医療費控除を利用すると、ふるさと納税の控除上限額が引き下げられる
- 会社員でも所得控除の項目を増やすことで節税対策を行うことは可能
医療費控除やセルフメディケーション税制を利用しても、ふるさと納税がお得であることに変わりありません。
そのためには、確定申告を行うことや、ふるさと納税の控除上限額が引き下がることに注意が必要です。
ふるさと納税は会社員でもできる数少ない節税対策の一つであるため、しっかりと制度を理解して、節税効果を受けましょう。