ワンストップ特例制度とは?一番簡単に控除申し込みができる方法をご紹介!

「ふるさと納税はワンストップ特例制度が便利って聞いたけど、一体どんな制度なんだろう?」
「ワンストップ特例制度で私も簡単にふるさと納税をしてみたい!」
面倒な確定申告が不要になるワンストップ特例制度の導入により、ふるさと納税の利用者はさらに増えています。
しかし、まだふるさと納税の経験がない人にとっては、ワンストップ特例制度が一体どんなものなのか、具体的にどう簡単なのか分かりにくく、二の足を踏んでしまうこともあるかもしれません。
この記事では、ふるさと納税でワンストップ特例制度を活用したい人のために、次のような知識をお伝えします。
この記事であなたもワンストップ特例制度を知って、ぜひふるさと納税にチャレンジしてみてください。
この記事の目次
- ワンストップ特例制度とは
- ワンストップ特例制度の仕組み
- ワンストップ特例制度を利用できる3つの条件
- もともと確定申告をする必要がない人
- 1年間の寄付先が5つ以下
- 申し込みごとに自治体へ申請書を郵送していること
- 確定申告とワンストップ特例制度はどちらが得か
- 利用前に覚えておきたいワンストップ特例制度の注意点
- 申込書の送付は翌年1月10日必着
- 申し込みに必要なのものは3つ
- 控除対象になるのは「住民税」のみ
- 申請内容に変更があれば「申請事項変更届出書」が必要
- ワンストップ特例制度の申告書の書き方と注意点
- ワンストップ特例制度の申告書の書き方 上部分
- ワンストップ特例制度の申告書 中部分
- 「2.申告の特例の適用に関する事項」にチェックを必ず入れてください!
- ワンストップ特例制度の申告書 下部分
- ワンストップ特例制度の申請内容に変更があった場合の対応
- まとめ
ワンストップ特例制度とは
ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税をした自治体への簡単な申請だけで、確定申告の代わりとなる特例制度のことです。
源泉徴収を済ませた給与所得者のための制度で、5団体以内の自治体へふるさと納税した場合に限られています。
もともと確定申告をする必要のない源泉徴収を済ませた給与所得者が、ふるさと納税のためだけに普段慣れない確定申告をするのはハードルが高いという声から用意されました。
ワンストップ特例制度の仕組み
- ふるさと納税をすると、納税先の自治体からお礼の手紙や返礼品とともに、ワンストップ特例制度の申請書が送られてくる
- ワンストップ特例申請書を、ふるさと納税先の自治体へ必要書類とともに送付
- ワンストップ特例申請書を受け取ったふるさと納税先の自治体が、あなたが住んでいる市区町村へ控除に必要な情報を連絡
- ふるさと納税をした翌年度、連絡を受けた住所地である市区町村があなたの住民税を減額
以上の通り、面倒な確定申告をする必要はなく、お住まいの市区町村への特別な届出なども必要ありません。
ワンストップ特例制度を利用できる3つの条件
ワンストップ特例制度を利用できる条件は次の3つです。
順に説明します。
もともと確定申告をする必要がない人
もともと確定申告をする必要がないのは、次の7つのどれにも当てはまらない人です。
- 個人事業主である
- マンション経営などの家賃収入がある
- 不動産やゴルフ会員権などの売買収入がある
- サラリーマンで給与が2,000万円以上
- サラリーマンで副業が20万円以上
- 高額の医療費を支払い、医療費控除を受けたい
- 住宅ローンが発生したので、住宅ローン控除を受けたい
1つでも当てはまる場合は確定申告をする必要があります。
確定申告をすることで税金の控除が受けられ、還付金がもらえてお得です。
確定申告の際に、一緒にふるさと納税の分も寄附金控除の欄に記入して申請しましょう。
それでは、各項目でも特に質問が多いポイントについて、Q&A形式で詳しく説明します。
Q. 不動産やゴルフ会員権などの売買収入があるとは?
-
不動産やゴルフ会員権などの売買収入があることを、譲渡所得と言います。
譲渡所得の対象となる資産は、土地、借地権、建物、株式等、特定の公社債、金地金、宝石、書画、骨とう、機械器具、ゴルフ会員権、特許権などです。
Q. サラリーマンで副業が20万円以上とは?
- サラリーマンで副業が20万円以上とは、年末調整をされなかった給与の収入金額と、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額との合計額が20万円を超える場合をいいます。
Q. 高額の医療費って一体どのくらい?
-
高額の医療費とは「10万円」もしくは「総所得金額の5%」のことです。
このどちらかを超えた分が医療費控除の対象とされています。
200万×5%=10万円ですから、総所得が200万円未満の場合は支払った医療費が10万円にならなくても医療費控除を受けることができます。
総所得とは所得控除を差し引いた金額なので、源泉徴収票の上部にある「給与所得控除後の金額」というところが総所得金額等(給与所得)となります。
総所得と医療費の合計をして確定申告するかどうかを決めましょう。
1年間の寄付先が5つ以下
1年間のふるさと納税先が、5つ以下の自治体である必要があります。
6回以上寄付を行っても、5自治体以下であればOKです。
もしも6回を超えてしまった場合は、ワンストップ特例制度による控除を受けることができませんので、確定申告をする必要があります。
申し込みごとに自治体へ申請書を郵送していること
申し込みごとに自治体へ申請書を郵送していることが最後の条件となります。
注意したいのは、同じ団体へ複数回にわたって寄付した場合、その回数分だけワンストップ特例申請をする必要があるということです。
確定申告とワンストップ特例制度はどちらが得か
確定申告とワンストップ特例制度は控除額に変わりはありませんが、控除される税金の種類が異なるので注意が必要です。
確定申告では所得税と住民税が控除され、払いすぎた分は翌年6月頃に還付されます。
一方ワンストップ特例制度は住民税のみが控除され、翌年支払う住民税から差し引かれます。
特に、住宅ローン控除を受けている場合は、ワンストップ特例制度が得する場合があります。
確定申告とワンストップ特例制度では、控除対象となる税種が異なるためです。
確定申告が所得税と住民税の2つに対して控除されるのに対し、ワンストップ特例制度は住民税のみとなります。
住宅借入金等特別控除の住民税控除には上限が設定されており、ふるさと納税によって減額される心配はありません。
ちなみに、住宅を購入したばかりの方は確定申告を行う必要があるため、ワンストップ特例制度は利用できません。
住宅ローン控除の開始とワンストップ特例制度は併用できないということになります。
確定申告とワンストップ特例制度は課税対象や期限のほかにもいくつか違いがありますので、次の表にまとめて紹介します。
申請方式 | 確定申告 | ワンストップ特例制度 |
---|---|---|
申請先 | 住民票のある自治体 | ふるさと納税先の自治体 |
期限 | 翌年3月15日 | 翌年1月10日 |
申請頻度 | 年に1回まとめて | 寄付するたび |
控除対象 | 所得税と住民税 | 住民税のみ |
納税先 | 6自治体以上可 | 5自治体まで |
このように、ワンストップ特例制度は、5自治体以内にふるさと納税する給与所得者の方に便利なシステムであることが分かります。
しかし、たとえば同じ自治体に春夏秋冬と季節の特産品ごとに寄付する場合などは、ワンストップ特例制度であれば4回の申請が必要になります。
5自治体以内であっても、頻繁にふるさと納税したい方は、1回で済む確定申告をおすすめします。
確定申告も年末調整済みなら、スマホ1台で簡単な申請で済みます。
利用前に覚えておきたいワンストップ特例制度の注意点
ワンストップ特例制度を利用する前に覚えておきたい制度の注意点や、申し込みの際に必要な書類などを紹介します。
注意点は次の4つです。
- 申込書の送付は翌年1月10日必着
- 申し込みに必要なのものは3つ
- 控除対象になるのは「住民税」のみ
- 申請内容に変更があれば「申請事項変更届出書」が必要
順に詳しく説明します。
申込書の送付は翌年1月10日必着
ワンストップ特例制度の申込書の送付は翌年1月10日必着です。
注意したいのが、1月10日までにふるさと納税先の自治体に到着している必要があるということです。
1月10日というと年明けすぐということもあり、年末の駆け込み納税が増える時期にはワンストップ特例制度の申込書の送付を見送っている自治体もあります。
もしも年末にふるさと納税をして、お礼の手紙や返礼品の中にワンストップ特例制度の申込書が入っていない場合は、ネットで調達してすぐに自治体へと送付することをおすすめします。
ワンストップ特例制度の申込書は、下ののリンクからダウンロードすることが可能です。
寄附金税額控除に係る申告特例申請書ダウンロード |
遅れた場合は確定申告を3月15日までに
ワンストップ特例制度の申込書が1月10日に間に合わなかった場合は、3月15日までに確定申告を行うことで、寄附金控除を受けることができます。
2019年1月から確定申告は大きく変更があり、サラリーマンにはぐっと簡単になりました。
年末調整済みの給与所得者で給与の支払いが1ヶ所のみなど一定の条件を満たせば、スマホでの確定申告が可能です。
もし、すでに遅れてしまっている場合はこちらの記事で確定申告の方法を確認して、申し込みをしてください。
申し込みに必要なのものは3つ
ワンストップ特例制度の申請に必要な書類は次の3つです。
- 寄附金税額控除に係る申告特例申請書
- マイナンバーカードの写し 表面と裏面の両面
- 封筒・切手
寄附金税額控除に係る申告特例申請書は、ふるさと納税先の自治体からお礼の手紙や返礼品と共に送られてくることが大半です。
しかし、返礼品が旬の食材の場合など、お礼の手紙と申請書だけを先に送り、返礼品が別便となるところがあるので、ふるさと納税した際には郵便物をしっかりとチェックしましょう。
また、たまに申請書を用意していない自治体もあります。
その際は、先ほど紹介した総務省のサイトで申請書をダウンロード、印刷して提出しましょう。
マイナンバーがない場合の対応方法
マイナンバーをまだ取得していない人は、次の2つのうちのいずれかを同封する必要があります。
- A 番号通知カード(写し)もしくは住民票[マイナンバー記載あり](写し)
運転免許証(写し)もしくはパスポート(写し) - B 番号通知カード(写し)もしくは住民票[マイナンバー記載あり](写し)
健康保険証および年金手帳など、提出先自治体が認める公的書類2点以上の写し
マイナンバーカードがない場合の対応方法で代表的なものは上記の2通りですが、もし上記の2つに該当しない方は下記のページをご参照ください。
控除対象になるのは「住民税」のみ
先にも記載した通り、ワンストップ特例制度で控除されるのは「住民税」のみとなります。
確定申告で控除される「所得税」のように、現金で戻ってくるものはないので注意が必要です。
また、サラリーマンの楽しみとして還付金があります。
もとは自分のお金だと分かっていても、現金が手元に還ってくるのは嬉しいものです。
これに対して、ワンストップ特例制度はすべて翌年の住民税の減額にまわされますから、還付金という形で手元に入ることはありません。勘違いしないようにしましょう。
申請内容に変更があれば「申請事項変更届出書」が必要
ワンストップ特例申請書を送付したあと、住所など申請内容に変更がある際には「申請事項変更届出書」が必要となります。
ワンストップ特例申請書をまだ申請しておらず、手元にある状態であれば、すでに旧住所などが印字されているはずです。
旧住所に二重線を引き、空いたスペースに新住所を記入の上、訂正印を押印したのち送付しましょう。
変更届も申請書と同様に1月10日必着となりますので注意してください。
申請事項変更届出書は、ふるさと納税先の自治体に問い合わせると送ってくれるところがほとんどです。
また、総務省のリンクからダウンロードすることが可能です。
寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書ダウンロード |
ワンストップ特例制度の申告書の書き方と注意点
ワンストップ特例制度の申告書の書き方と記入例を画像で分かりやすく解説します。
注意すべきポイントは、マイナンバーの書き忘れです。
書類に不備があると控除が受けられない場合がありますので、気をつけましょう。
ワンストップ特例制度の申告書の書き方 上部分
上部分の注意ポイントはつぎの4つです。
順に詳しく説明します。
注意ポイント① 提出日を記入
提出日はワンストップ特例制度の申請書を提出する日です。
ふるさと納税を申請した日や返礼品を受け取った日ではありませんので注意しましょう。
注意ポイント② 太枠内の項目を記入
太枠内はすでに記載されている場合がほとんどですが、なかには空欄のものもあります。
記載されている場合は間違いがないかチェックしましょう。
空欄の場合は住所・電話番号・氏名・性別・生年月日を記入しましょう。
注意ポイント③ 捺印
捺印を忘れないようにしましょう。 ゴム印(シャチハタなども)は不可ですので注意しましょう。
注意ポイント④ マイナンバーを記入
個人番号(マイナンバー)を記入しましょう。
マイナンバーをまだ取得していない場合は、マイナンバー記載の住民票を見て記入してください。
ワンストップ特例制度の申告書 中部分
中部分の注意ポイントはつぎの3つです。
順に詳しく説明します。
注意ポイント⑤ 受領証明書に記載の年月日と寄附金額を記入
受領証明書に記載されている年月日を記入しましょう。
今日の日付や、返礼品を受け取った日付ではありませんので、ご注意ください。
また、受領証明書に記載されている寄附金額を記入しましょう。
注意ポイント⑥ 確定申告及び住民税申告をする必要のない方はチェック
確定申告と住民税申告をする必要のない場合のみチェックを入れましょう。
注意ポイント⑦ その年のふるさと納税による寄付先が「5自治体」の方はチェック
その年のふるさと納税による寄付先が「5自治体」以下と見込まれる場合のみチェックを入れましょう。
寄付回数ではなく、寄付先の自治体数です。
何回同じ自治体に寄付をしても1団体とみなされます。
「2.申告の特例の適用に関する事項」にチェックを必ず入れてください!
6と7の両方にチェックが入っていないと、ワンストップ特例制度を受けることはできません。
必ず以下の項目をチェックして、すべてに該当するか再度確認しましょう。
- 個人事業主ではない
- マンション経営などの家賃収入はない
- 不動産やゴルフ会員権などの売買収入はない
- サラリーマンで給与が2,000万円未満
- サラリーマンで副業が20万円未満 高額の医療費を支払っていない
- 住宅ローンが発生していない
- 寄付するごとにワンストップ特例制度の申請をしている
- 1年間の寄付先の自治体が5つ以下
- 申し込みごとに自治体へ申請書を郵送している
すべてに該当する場合のみ、両方にチェックを入れましょう。
ワンストップ特例制度の申告書 下部分
下部分はつぎに注意しましょう。
注意ポイント⑧ 住所・氏名を記入
赤字はほとんどの場合、すでに納税先によって印字されていることがほとんどですが、空欄であれば住所と氏名を記入しましょう。
記載されていれば、正しいかどうかチェックしましょう。
こちらは後日、ふるさと納税先の自治体からあなたの住民票のある自治体へと送付される「申告特例申請書受付書」に利用されるものです。
この住所が間違っていると控除が受けられなくなりますので、省略したりせず正しいものを記入しましょう。
ワンストップ特例制度の申請内容に変更があった場合の対応
先述したように、ワンストップ特例制度の申請書を送付すると、あなたは基本的に何もすることがありません。
あとはふるさと納税先の自治体と、住民票のある自治体がやり取りをして、あなたの住民税を減額してくれるのを待つだけです。
しかし、急な所得が発生したり医療費がかさんだりと、ワンストップ特例制度の申請書を送付したあとに確定申告をしなければならなくなるケースは意外と多いです。
確定申告の際に必要になるのが、寄附受領証明書です。
寄附受領証明書は自治体が寄附金を受領したことを証明する書類となります。
ワンストップ特例制度に申し込んだあとに不要になったからと捨てたり、仕舞い込んでしまってどこに行ったか分からないということにならないよう、しっかりと保管しておきましょう。
寄附受領証明書の保管期間は5年間
寄附受領証明書のおすすめの保管期間は5年間です。
それは、ふるさと納税の還付申告の期限が5年とされているためです。
万が一、何かの事情で翌年の住民税が控除されていない事態になっても、寄附金の還付申告をすればよいのです。
まとめ
ここまで、ふるさと納税でワンストップ特例制度を活用したい人に向けて、具体的なやり方について詳しくお伝えしました。
ポイントは、マイナンバーを取得していないと申請が面倒になるということ。
この機会にぜひマイナンバー取得をおすすめします。
また、ワンストップ特例制度はふるさと納税を受ける度に申請する必要があるため、複数回利用する場合は確定申告も検討の余地があります。
この記事で、あなたもワンストップ特例制度を知って、ぜひふるさと納税にチャレンジしてみてくださいね。