医療法人がクレジットカードを作るときのポイントは?メリット・デメリットとおすすめカード4選も解説
監修者:クレジットカード専門家 菊地崇仁
病院をはじめ介護老人保険施設、そのほかに医師や歯科医師が常勤する診療所などから成る医療法人では、経費の支出が多数あります。
そして、経費の支払いや処理の手間を少なく済ませるために、医療法人名義の法人カードを導入して事務処理を簡素化したいと考える方もいるのではないでしょうか。
当記事では、医療法人がクレジットカードを作るときのポイント、メリット・デメリットを解説し、最後におすすめのクレジットカードも紹介します。
記事を最後までチェックすることで、医療法人がクレジットカードを作るために何が必要なのか理解し、おすすめするカードにスムーズに申し込めるようになるでしょう。
この記事の目次
- 法人カードは医療法人も申し込みできる
- 法人カードの申し込み対象は法人代表者
- 法人カードの発行は会社に限定されない
- 医療法人が法人カードを申し込むときの2つのポイント
- 医療法人名義の法人口座開設をする
- 法人登記を済ませておく
- 医療法人が法人カードを利用する際の5つのメリット
- 経費管理の効率化
- 付帯サービスの活用が可能
- ETCカードの発行で高速道路利用時に便利
- 利用金額に応じたポイントの獲得
- 現金払いで支払っていた手数料の削減
- 医療法人が法人カードを利用する際の3つのデメリット
- 代表者のクレヒスが悪いと審査に落ちる
- 年会費が高額になるケースもある
- 発行当初は利用限度額が低めのことが多い
- さまざまなシーンで活躍できる!医療法人におすすめの法人カード4選
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
- JCB CARD Biz GOLD
- ダイナースクラブビジネスカード
- まとめ
法人カードは医療法人も申し込みできる
医療法人が申し込めるクレジットカードは法人カードとなります。
法人カードの申し込み対象は会社や個人事業主と考える方もいるかもしれませんが、医療法人以外に一般社団法人や学校法人なども申し込みができるのです。
法人カードの申し込み対象は法人代表者
医療法人が法人カードの申し込みをする際に、申込者となるのは医療法人の代表者です。
実際に法人カードの申し込み書の記入欄に申込者となる方の本人情報記入欄があり、氏名や生年月日などを記入しなくてはなりません。
法人カードの発行は会社に限定されない
最初にも伝えたように法人カードを発行できるのは会社限定ではなく、以下に当てはまれば問題ありません。
- 株式会社、有限会社、投資法人、特定目的会社等(資本多数決を採用する法人)
- 個人事業主
- 国、地方公共団体、人格のない社団または財団、独立行政法人
- 上に記載以外の法人(社団・財団法人、学校法人、医療法人、合名会社、合資会社、合同会社等)
要するに法人であれば、どんな組織でも問題なく法人カードの申請が可能です。また、宗教法人や社会福祉法人、NPO法人など、上記に記載した以外にも幅広く法人カードの発行ができます。
個人事業主用のカードは申し込み対象にならない
法人カードの中には個人事業主を対象にしたカードがありますが、医療法人が申し込んだとしても入会資格を満たさないので審査通過はありません。
たとえば、オリコの「EX Gold for Biz S」などが個人事業主を入会対象にしたカードになりますが、申し込む前に再度申し込み対象を確認するようにしてください。
次に、医療法人が法人カードを申し込むときのポイントを2つ解説します。
医療法人が法人カードを申し込むときの2つのポイント
医療法人が法人カードを申し込む際には以下の2つのポイントが重要です。
後で焦って準備することのないように、時間に余裕を持って対応しておいてください。
医療法人名義の法人口座開設をする
法人カードの利用代金は法人名義の口座から引き落とす必要があるため、保有していない場合は医療法人名義の法人口座を開設するようにしてください。
法人登記を済ませておく
法人確認書類から「法人の名称」「本店所在地」「事業内容」「代表者氏名」をチェックするため、法人カードを申し込むのであれば登記手続は必須です。
次に、利用するにあたりチェックしておきたい、医療法人が法人カードを利用する際のメリットを5つ紹介しています。
医療法人が法人カードを利用する際の5つのメリット
医療法人が法人カードを利用するメリットが以下の5つです。
詳しく解説していきますが、経費決済に使えるだけでなく、ビジネスの中で直接役立つメリットが多いことがわかります。
経費管理の効率化
経費の決済を法人カードでおこなえば、以下のように経費管理の効率化が実現します。
- 毎月発行される利用明細書で経費を「いつ・どこで・何に」使ったのかが一目でわかる
- 支払いが法人カードに一本化されることで経費精算の事務処理が必要なくなる
経費の支払いを現金で行う場合、出勤ごとに伝票を作ったり現金を用意したりする必要がありますが、法人カードであれば毎月決まった日に銀行口座から引き落とされるのみです。
領収書の保存や現金の流れを把握する必要もありませんし、紛失や精算漏れなども防ぎやすくなるでしょう。
また、「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード」のように法人カードと会計ソフトの連動が可能なカードもあります。
付帯サービスの活用が可能
法人カードは経費の支払いだけでなく、付帯サービスを利用できることもメリットです。
たとえば、出張などに役立つ国内・海外旅行傷害保険に空港ラウンジの利用、そのほかにも福利厚生サービスを用意する法人カードもあります。
医療法人の中には職員の福利厚生の提供が難しいこともあるかもしれませんが、法人カードを導入すれば年会費の費用内で利用できます。
ETCカードの発行で高速道路利用時に便利
法人カードと紐づけてETCカードを発行し、業務の中で役立てることができます。
ETCカードがあることで、高速道路や有料道路の通行料金の割引が受けられるほか、利用料金も法人カードの利用金額として毎月まとめて請求されます。
通行料金がお得になって経費削減につながりますし、職員も利用のたびに現金で支払う手間がありません。
利用金額に応じたポイントの獲得
法人カードの利用金額に応じたポイントを獲得して、さまざまな目的に使えることもメリットの1つです。
ポイント還元率は個人カードと比べて低めですが、経費の支払いが高額になることが多々あるでしょう。その結果、還元率は低くても利用金額が大きいので、高額のポイントを獲得できることになります。
後に商品と交換したりマイルに移行したりすれば、本来支払うはずだったお金が出ないので経費削減につながる、というわけです。
現金払いで支払っていた手数料の削減
経費を現金で支払うことで手数料が発生しますが、法人カードで支払いをすればそれらのお金をおさえることができ、経費削減の実現が可能です。
対象になるのは、銀行の振込み手数料、そのほかにもさまざまな取り扱い手数料などが挙げられます。
たとえば、みずほ銀行の場合、窓口から他行へ3万円以上の振込みをする場合、880円の手数料が発生します。
毎月10回の振り込みをした場合は8,800円となり、これが1年間続けば105,600円にもなりますが、これを削減することが可能です。
次に医療法人が法人カードを利用する際のデメリットを3つ解説します。
医療法人が法人カードを利用する際の3つのデメリット
法人カードはさまざまなメリットがありますが、それに対するデメリットもいくつかあります。
上記の3つが主なものですが、デメリットはあらかじめ知っておけば対応策を取り入れることができます。
また、法人カードはデメリット以上にメリットの方が大きいことも事実でしょう。
代表者のクレヒスが悪いと審査に落ちる
法人カードの審査では代表者個人の信用力も調査されますが、その際に重要となるのが 良好な内容のクレヒス(クレジットヒストリー)です。
クレヒスとは、日本に3社ある信用情報機関に登録された情報のことで、主にクレジットカードやローンの利用状況に契約状況、返済履歴などが記録されています。
遅れることなく、毎月しっかりと返済をしていれば、何もしなくても「良いクレヒス」は築かれますが、以下のような場合は「悪いクレヒス」となり審査通過は難しいです。
- 支払遅延の履歴がある
- 過去に債務整理をおこなった
- 現在の契約で数ヶ月の支払い遅延がある
- 現在の契約で支払い遅延を繰り返している
- 短期間で複数のクレジットカードやローンに申し込んでいる
- 他社に多くの借り入れ件数
- 金額がある
- 携帯電話を分割払いで購入後、滞納している
年会費が高額になるケースもある
法人カードのほとんどで年会費が発生し、選ぶカードしだいでは高額な支払いが必要になる場合があります。
まず、法人カードのランクは3つあり、一般・ゴールド・プラチナの順番でグレードがアップしていく流れです。
一般カードですと年会費永年無料、あるいは1,000円台、ゴールドですと下は2,000円台のものから1~3万円程度、プラチナになると2~13万円程度のようになります。
確かに年会費が高額になるほどに、カードの充実度も上がります。しかし、充実度だけでカード選びをしてしまうと、後に年会費の支払いが負担になってしまうかもしれません。
年会費は経費計上のできるお金ですが、毎年確実に支払っていけるかどうかは前もって確認してから申し込む必要があるでしょう。
発行当初は利用限度額が低めのことが多い
法人カードには利用限度額や利用できる目安の金額があり、発行当初は低い金額で設定されることが多い傾向にあります。
基本的にどのカード会社も審査で信用力や支払い能力を判断したうえで利用限度額を設定します。
そのため、希望どおりの利用限度額が設定されないことも多くあり、チェックしたら下限の金額だったなどのこともあるでしょう。
ただし、最初に設定された金額で良好な支払い履歴を築けば、カード会社からの信頼を得ることができ、増枠申請をした際は審査通過がスムーズに進むはずです。
法人カードの知識を得たら、あとはどのカードを選ぶかになります。次に、さまざまなシーンで役立つ、医療法人におすすめの法人カードを4選でご紹介していきましょう。
さまざまなシーンで活躍できる!医療法人におすすめの法人カード4選
医療法人が使う中で、さまざまなシーンで活躍できるおすすめの法人カードを4選でご紹介します。
法人カードは多くのカード会社で発行していますが、スペックや付帯サービスは大きく異なります。こちらで取り上げる法人カードは内容の充実度も高く、カードステータスも高めの傾向にあるものです。
ぜひ、最適な1枚を選ぶための参考にしてください。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード」は、アメックスが直接発行する法人ゴールドカードです。ゴールドカードですが、他社のプラチナカード相応のサービス付帯があることが魅力です。
31,000円(税別)の年会費はリーズナブルと言えない金額ですが、最大1億円が補償される海外旅行傷害保険に、海外で24時間・365日の日本語サポートが可能な「オーバーシーズ・アシスト」も付帯します。
カードの充実度を考えれば、導入後は年会費以上の恩恵を受けられるはずです。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」は、20,000円(税別)というお得な年会費をはじめ、プラチナランクならではのサービス付帯があることが魅力のカードです。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カードはインビテーションが不要なので、都合の良いタイミングで申し込めます。
また、申し込みの際に登記簿謄本などの提出が必要ないので、プラチナカードの中でも導入しやすいと1枚と言えるでしょう。
JCB CARD Biz GOLD
「JCB CARD Biz GOLD」はJCBの発行する法人ゴールドカードです。
JCB CARD Biz GOLDを利用してJCBの定める一定条件を満たせば、ワンランク上の「JCBゴールド ザ・プレミア」や「JCBザ・クラス」に招待されます。そのため、後にグレードアップを検討している方にはおすすめの1枚でしょう。
年会費は10,000円(税別)で、オンライン入会の場合のみ初年度年会費無料になります。
また、保険内容も充実していますし、最短当日発行、翌日に自宅届けができるなどの特徴もあります。
ダイナースクラブビジネスカード
「ダイナースクラブビジネスカード」はステータスカードとして知名度が高く、年会費は27,000円(税別)で利用可能枠に一律の制限がないことが特徴です。
追加カードは発行無料、会計ソフト「freee」の優待に、課題の無料相談ができる「プライベートアドバイザー」など、ビジネスに役立つ特典も豊富にそろっています。
また、支払い方法も「一回払い・ボーナス一括払い・リボルビング払い」から選べますし、キャッシングサービスも利用可能です。
まとめ
当記事では、医療法人がクレジットカードを作るにあたり、法人カードを作るときのポイント、メリット・デメリットを解説。さらに、さまざまなシーンで役立つおすすめ法人カードもご紹介しました。
代表者個人のクレヒスが悪いと審査落ちするなどのデメリットはあります。しかし、それ以上にメリットが大きく、経費管理の効率化や付帯サービスを活用できるなどのことがあります。
また、実際に法人カードに申し込む前に、「法人登記をする」「医療法人名義の銀行口座を開設する」などしておけば、手続きもスムーズに進むでしょう。
支払う年会費の金額に付帯するサービス内容などを比較しつつ、最適な法人カードを選んで申し込みをしてみてください。
- 監修者:クレジットカード専門家 菊地崇仁
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約80枚のクレジットカードを保有し、約130万円の年会費を支払っている。 一般カードからプラチナカード等のプレミアムカードを実際に保有・利用し、信用できる情報提供を目指している。すべてのカードを利用し、おトクな使い方、おすすめの使い方を日々研究中。